「練習をしているときは 自分が一番下手だと思っていないと、いけないと思います」(石川 遼)(時事通信フォト=写真)

07年、15歳でプロゴルフ大会に出場し、見事優勝を成し遂げた石川遼選手。もし、あのときに優勝できなかったとしても、彼は一流まで上り詰めたに違いない。それはなぜか。

教科書的な考え方では「自分が一番うまいと思って練習する」のが普通だ。つまり、常に自分をうまいプレーヤーであると自己暗示にかけるわけだ。

これに対し石川選手は、「自分は一番下手だ」と言い聞かせることにより、「もっと努力しなければならない」と自分にむち打つ。石川選手のコメントは、どんな分野のトップクラスにあっても、「まだ自分には足りないものがある」と、自分の欠点を意識する心構えがとても大事であることを思い起こさせてくれる。

人間には、自分をかき立ててくれる大きな要素として「成長欲求」がある。「仕事を通して自分が成長し続けているという手応えを感じ取りたい」と思う気持ちのこと。この成長欲求が異常に強いのが、トップクラスのアスリート。つまり、トップに上り詰めるには、これこそが不可欠の要素なのだ。最もよくないのは“妥協”だ。妥協した時点で停滞が始まる。