トヨタ「レクサス」VSプレミアム御三家

トヨタ自動車は8月26日夜、東京タワーのふもとでナイトイベント「レクサスアメージングナイト」を開催した。目的は7月29日に発売したレクサスブランドの新SUV「NX」のPR。自動車関係の記者ばかりでなく、トヨタが言うところの“インフルエンサー（世に影響を与える人物）”たるファッション誌編集、モデルなど、多方面の業界人を招き、レクサスNXを知ってもらおうというのが狙いだ。

福市得雄・レクサスインターナショナルプレジデント。

今年4月に社内バーチャルコーポレーション、レクサスインターナショナルのプレジデント（部門責任者）に就任した福市得雄氏は、「レクサスは（初代LSがアメリカでデビューした89年から数えて）25周年、日本では10年にも満たない歴史の浅いブランド。NXでレクサスの新たなエピソードを作りたい」と語った。

福市氏は8月8日に行われたNXの生産拠点であるトヨタ自動車九州のラインオフ式典後の会見でも、レクサスの歴史の浅さが成長のネックになっているという見方を示していた。比較対象としてしばしば取り上げたのは「ジャーマンスリー」。ドイツのダイムラー、BMW、アウディの、いわゆるプレミアム御三家だ。

「これまでジャーマンスリーに対抗できなかった要因はいろいろあるが、ひとつはやはり、ブランドの持つ“物語”が足りないこと。それを作るには長い年月がかかるが、NXをトリガーのひとつにしたい」（福市氏）

レクサスはアメリカにおける高級車ブランド立ち上げの画期的成功例として伝えられているが、福市氏がプレジデントに就任する前、レクサス部門は少なからず迷走していた。販売台数だけ見ると、北米では堂々たるプレミアムブランドの一角だ。が、その中身を見ると、トヨタブランドの最上位モデルである「アヴァロン」をベースとした前輪駆動のEセグメントセダン「ES」と、クロスオーバーSUV（乗用車とSUVの中間的な性格を持つモデル）の草分けとして確固たる地位を築いている「RX」が過半を占め、プレミアムセグメントの本命である高級セダン「LS」「GS」「IS」は、いずれもダイムラー、BMWにダブルスコア、トリプルスコアの差を付けられ、後塵を拝しているというのが実情。日本市場でも状況は大して変わらず、ライバルに比べて低い価格設定で売り支えている。欧州市場、中国市場ではほとんど存在感を示せていない。