一つの道を極めた専門家が愛用する道具は一味違う。厳選されたアイテムを一挙に公開する。
「ITオタク」を極めて、趣味から起業へ
「昔からパソコン好きのITオタクでした。起業するつもりはなく、人に喜ばれるものを作りたいと思って、趣味で開発していたのですが、いつの間にか起業することになっていました」
人気の家計簿アプリ「Zaim」の開発者としてIT業界で注目を集めている閑歳孝子さんは、そう振り返る。
大学卒業後は出版社に就職したが、3年ほどで転職。あこがれのウェブ業界に入った。仕事は主に法人向け。充実していたが、「個人向けのサービスを自分で作ってみたい」という気持ちが抑えきれず、独学でプログラミングを習得した。いくつかのサービスを個人開発するなか、2011年に友人と参加したイベントで「Zaim」のアイデアを発表。手応えを得た。
コンセプトは「もっとお金に楽しさを」。開発から公開までの約5カ月間は、平日は終業後の20時から2~3時間ほど、週末は終日を作業にあてた。
「使ったのはノートPC1台だけ。通勤電車や近所のカフェでコードを書きました。開発はどこでもできますよ」
公開から1年足らずの12年9月にはクックパッドから4200万円を調達。独立し、経営者となった。
「出資を受けて意識が変わりました。『このサービスがないと困る!』。そんな期待に全力で応えたいです」