「ゆとり老後」のためには6000万円の貯蓄が必要──。介護のために、80代以降にも貯金を残したい。現役時代からの生活費の見直しとキャリアの積み方に、老後の「ゆたかさ」と「安心」がかかっている。
ゆとりある老後の生活をイメージできるだろうか。体が元気なうちは海外旅行や贅沢な食事を楽しみ、介護が必要になったら高級ホテルかと見まがうような有料老人ホームでのんびり暮らす。それをゆとりある老後の生活というのであれば「たぶん4億円くらい貯めれば実現できると思います」と経済アナリストの森永卓郎さん。
「都心の有料老人ホームの入居金が5000万円から1億円です。夫婦2人で入ると1億円から2億円。月額費用が40万円から50万円。10年間入居しただけで6000万円かかるので4億円という金額になるのです。もっとも場所によって費用は大きく異なり、例えば東京郊外のホームなら入居金なしで月額25万円から30万円というところもあります」
しかし会社員の生涯賃金は大卒男性で2億8000万円、女性で2億4000万円(労働政策研究・研修機構調べ2012年)なのだから、給料だけで4億円貯めるのは不可能。そこでもっと身近なゆとりある老後の生活を考えてみよう。
世帯年収にかかわらず、ゆとりの中身は共通していて、旅行やレジャーが最も多く、趣味や教養が続く(図参照)。そして生活費も合わせて月36万6000円を確保できれば、ゆとりある老後が送れると多くの人が考えている。