カツオは魚類でプリン体含量トップ!

カツオが出回っている。いつであったか、銚子港へ足を運び、水揚げからセリ、発送、地元での加工作業など一連のカツオにかかわる見聞をしたことがある。

新鮮な刺身から角煮、なまり節、酒盗とひと通り試食にかこつけてかきあつめ、やがて日も暮れて、せっかくだから夜の埠頭で一杯、と仲間たちが地酒を3、4銘柄入れてきて、酒盛りとなった。

ぞんざいに発砲スチロールの皿に載せてあるだけで風情もなにもあったものではないが、さすがに鮮度がいいからカツオは旨い。このように血の気の多い魚は酸化も速いとみえて、包丁を入れた端からどんどん腥(なまぐさ)さが増してくる。生姜(しょうが)、大蒜(にんにく)、玉葱(たまねぎ)、青紫蘇(あおしそ)、茗荷(みょうが)など葷菜(くんさい)を添えてあるのも、臭みを抑えつつ香味で中和させようとの魂胆であろう。

魚類のなかでも一癖ある個性的なカツオだけに、対抗するためにはそれなりに強力な肝のすわった酒でなくてはいけない。ところが、仕入れてきた地酒はどことなく腑抜けていて、カツオや大蒜に負けてしまう。

探せば、すっきり辛口の酒があるのかもしれないが、もともと千葉県は甘口の蔵が多いと聞く。そういえば、土佐も似ていて、切れ味鋭いのが少ない。それでも『千代登』は珍しく辛口であったが、現在は醸されていない。

白髪の 友ら健啖 初鰹   滝春一(しゅんいち)

小骨がないからがつがつ食すことができるのも、この魚の魅力であろう。

「よし、今夜はカツオで」

と、勢い込んでみたものの、

「待てよ」

と、すでに手は書架のファイルにかかっている。「食品中プリン体含量」(帝京大・金子希代子教授)の一覧表を出して、見た。

「カツオ 211.4mg/100g」

魚類では堂々のトップである。ウナギなんぞは92.1しかない。

「はてさて、どうすべぇか」