茶葉を挽き、お茶を点てることができるシャープのお茶メーカー「ヘルシオ お茶プレッソ」が、好調な出足をみせている。2014年4月25日の発売以降、品不足状態が続き、発売直後にも関わらず、5月からは当初計画の月産4000台体制を、5000台体制へと引き上げた。世界初となるお茶メーカーはなぜ生まれたのか。そして、そこにはどんな思いが込められているのか。
茶葉の栄養分が100%まるごと入ったお茶
電機メーカーが作るお茶メーカーとはどんなものだろうか。
田村友樹氏(シャープ 健康・環境システム事業本部調理システム事業部新規事業推進プロジェクトチームチーフ)をはじめとするプロジェクトチームは検討を開始した。
茶葉を使い、沸かしたお湯でお茶を入れるだけでは、なんら新たな提案はない。それは急須のままでも済むからだ。
シャープならではの提案はどこにあるのか。やはりそれは「健康」であった。
調べていくと、お茶にはたくさんの効能があることがわかった。
例えば、お茶は古くから「百薬の長」と言われ、栄養成分が豊富に含まれており、健康のために飲まれていた習慣があったということ、カテキンやビタミンA、C、Eといった抗酸化作用を持つ栄養分や、テアニンによるリラックス効果もあるほか、食物繊維による血糖上昇抑制効果、カフェインによる代謝促進、クロロフィルによる消臭効果もある。
「日本最古の茶書である喫茶養生記は、医学書として書かれたものであり、ここにはお茶に関する薬としての効能が記載されている。また、健康寿命が長いのは静岡県などのお茶の産地であり、日常茶飯事の言葉通りに、日常的にお茶を飲んでいる。だが、その一方で、急須で入れるお茶の場合、茶殻として捨ててしまう栄養分が70%に達していることもわかった」
そこで注目したのが、茶葉を挽いて、お湯を沸かし、お茶を点てて飲むというお茶メーカーの開発だった。これによって、茶葉の栄養分を100%まるごと入ったお茶を飲むことができる。ヘルシオで目指す、健康という点でも特徴を十分発揮できるというわけだ。