納得のいくお茶がなかなか実現できない
デザインもゼロから再スタートを切った。
世界初のお茶メーカーにふさわしいデザインはなにか。まずは「和」のテイストを盛り込んだものにしたいと田村氏は要望した。わずか10日間でデザイナーからあがってきた草案は、これまでのコーヒーメーカーとはまったく異なるデザインであった。それはまさにお茶メーカーという新たな製品であることを感じさせるものであった。
「こうした製品は、一度しまわれてたら、次にはなかなか使ってもらえない。テーブルの上に常設しても邪魔にならないぎりぎりのサイズを実現した」というのも、デザイン上のこだわりのひとつだ。
一方で、茶葉を挽く、お湯を沸かす、お茶を点てるという3つの機能についても、それまでの1年の経験をベースにさらに進化を図っていった。
だが、ここでも大きな壁が田村氏たちの前に立ちふさがった。
「お湯を沸かすということはなにも問題がない。だが、茶葉を挽く、お茶を点てるという点で、納得のいくものがなかなか出来ない」
口のなかに残らない状態にまで挽くことが難しく、きめ細かな泡を実現した口触りのいいお茶を点てることができない状況が続いた。
プロジェクトチームは何度も試行錯誤を繰り返した。作り上げた試作部品は、挽く部分、点てる部分で、それぞれ30種類前後にも及んだ。