日本を離れても、情報は海を渡る

地下銀行にせよ、爆買いにせよ、国税も国境をまたぐお金を放置しているわけではありません。

古くは、私がいた東京国税局の調査部に「外人部門」と呼ばれる部門があり、今は外国法人や国際取引を専門に調査する部署があります。英語は堂々としたもので、中国語を流暢に話す職員もいます。

日本と中国の国旗
写真=iStock.com/MicroStockHub
※写真はイメージです

また、帰国されて日本の国税が手を出せなくなっても、話がそこで終わるとは限りません。日本は中国との間で租税条約を結んでおり、税務当局同士で情報を交換する仕組みがあるからです。

日本で得た所得などの情報が、租税条約等に基づき、相手国の税務当局へ提供されることがあります。そして、相手国でも課税対象となる所得であれば、現地で課税を受ける可能性もあります。

とはいえ、相手国の税務当局が動いたところで、日本の国庫に税金が入るわけではありません。「日本で稼いだお金に対する税金が、なぜ日本で取れないのか」という根本的な問題は残ったままです。

お金や人が簡単に国境を越える時代になり、従来の「国内に財産がなければ手を出せない」という前提は限界を迎えています。1円単位で税金を納めている日本の会社員たちが「正直者がバカを見る」と感じてしまえば、納税のモラルそのものが揺らぎかねません。

地下銀行のような違法なルートを警察と連携して徹底的に塞ぐことはもちろん、出国前に確実に課税・徴収できる仕組みづくりなど、国境の壁を越えるためのもう一段踏み込んだ対策が求められています。

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