文化庁が注意喚起
2026年7月末、文化庁の検討会で宗教法人格の不正利用対策が議論され、年内にもガイドラインを策定する方針が示されました。第三者が休眠状態の宗教法人を実質的に買い取り、脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)などに悪用するリスクが問題になっているためです。
私はこのニュースを見て、「ようやく所管庁が動いたか」と思いました。国税の側から見れば、宗教法人という「箱」が裏のお金の受け皿に使われることは、遅かれ早かれ起こる話でした。
以下は、文化庁が公開した資料(「宗教法人の売買に類似した取引による違法行為の助長を防止するための取組について」)に掲載されている、インターネット上の仲介サイトのイメージです。このように、税金対策などを謳って買い手を募り、後継者不足などで悩む宗教法人とのマッチングが行われています。
文化庁の同資料では、以下のような取引が実際に行われていることも確認されています。これを見ると、宗教法人をめぐって巨額のお金が動いていることが分かります。
宗教法人が税金面で優遇される理由
なぜ宗教法人の取引が活発なのかを語る前に、税金のルールをお伝えしましょう。前提として、宗教法人の税制は一般の会社とまったく違います。
お布施、さい銭、戒名料、祈祷料、お守りやお札の授与など、宗教活動から入ってくるお金には、原則として法人税がかかりません。課税されるのは「収益事業」だけです。法人税法は、物品販売業、不動産貸付業、駐車場業、旅館業、飲食店業、請負業など34種類の事業を「収益事業」と定めており(法人税法施行令5条)、宗教法人であっても、34種類のどれかに当たる事業から生じた所得には法人税がかかります。
とはいえ、課税されるとしても税率は一般企業より低くなります。所得800万円を超える部分に適用される税率を比較すると、一般の会社の法人税率が23.2%であるのに対し、宗教法人の収益事業(800万円超部分)には19%の軽減税率が適用されます。さらに、収益事業で得た利益を宗教活動に回した場合、その一部を寄附金として損金にできる「みなし寄附金」という仕組みもあります。

