中国では、個人の外貨購入に年間5万米ドル相当の簡便な手続きの枠があり、海外投資などの資本取引にも規制があります。海外にお金を移すことが、簡単ではないのです。

ところが、中国には「上に政策あれば、下に対策あり」という言葉があります。規制が厳しければ厳しいほど、その外側でお金を動かしたい人は出てきます。事実、中国からの大量のマネーが、日本の不動産市場に流れ込んでいます。

こうした規制を避けて資金を動かそうとする需要が、地下銀行の背景にあると考えられます。今回の京都の事件でも、逮捕された女は、逮捕前の任意聴取で、不動産事業に日本円が必要だったと説明していたと報じられています。

「お土産です」で通った爆買い

国税が追いきれないお金は、ほかにもあります。一時期話題になった、中国人観光客の「爆買い」です。

免税制度では、旅行者本人が使う品物だけでなく、国外へ持ち帰る土産品なども対象になります。一方、事業用や販売用として購入する場合は、免税になりません。この仕組みを使って、大量の日本のブランド品や電化製品などが、“土産品”として買われていました。

大衆薬や化粧品を買い込む中国人観光客たち=2016年1月28日、大阪市中央区のスギ薬局
写真=朝日新聞社/時事通信フォト
薬や化粧品を買い込む中国人観光客たち=2016年1月28日、大阪市中央区

販売目的が疑われても、購入者から「親戚へのお土産です」と説明されると、その場で実際の用途を見極めるのは難しい。品物が海を渡った後、本当に自分で使ったのか、どこかで売られたのかまでは、日本の国税には追えません。

爆買いの目的が実際は転売にあることは容易に想像がつきます。消費税なしで安く仕入れた商品を、中国本国で転売して利ざやを得る。そのようなビジネスに、免税の仕組みが利用されてきたというわけです。

ちなみに、免税品の転売が問題視されたこともあり、免税制度は2026年11月1日から、いったん消費税込みで買い、出国時に持ち出しが確認されてから税金分を返す「リファンド方式」に切り替わりました。

税金を先に預かる形に変えることで、消費税の取り漏れを防ぐ狙いによるものですが、どこまで効果があるかは未知数です。