「スポーツ沼」に足を入れる前にすべきこと

晴れて黒字化したものの、まだ大きな懸念が残っています。子どもたちの大学進学です。

教育費はこの先さらに膨らみます。国公立でも300万〜600万円ほど、私立であればそれ以上かかることも珍しくありません。それにもかかわらず貯蓄は280万円。当初の赤字が続けば年間で約170万円が消え、ボーナスの70万円を充てても3年ともたない計算でした。

長男がこのままテニスを続けて大学に進んだ後にも、3人の子が控えています。貯蓄が尽きれば、2人目以降の進学を諦めてもらう事態になりかねません。

屋外でテニスをする前に靴ひもを結ぶ若者
写真=iStock.com/urbazon
※写真はイメージです

こうしたケースは決して珍しくありません。サッカーや野球、スケート、ピアノやバレエなど、子どもが才能や成果を見せ始めた分野で、親が際限なく支出を重ねていく例を私は数多く見てきました。

私自身、スケートの盛んな北海道の苫小牧出身で、幼い頃から極寒のリンクで滑る子どもたちと、それをじっと見守る親の姿を目にしてきました。大会に出て表彰台に立つなど結果がついてくると、途中でやめさせるのが難しくなり、遠征費や道具代などなし崩し的にコストが膨らみます。途中で離脱しようにも「ここまで(これだけ)応援してきたのだから」という思いが、親を後戻りできなくさせてしまうのです。中学受験と同じ仕組みです。

多くの親は、子どものきれいな目で「がんばりたい。だからやらせて」と言われると、出してあげたいと思うでしょう。でも、家計には限りがあります。ですから、子どもが6人いる私・横山家では、月1回の「家族マネー会議」を開き、子どもが習い事を始める前にも臨時会議をして、その挑戦が「妥当」かどうかを確認しています。

大切なのは、月謝だけでなく道具代や遠征費、交通費まで含めた年間の総額を試算し、それが何年続く見込みかを掛け合わせて、長期的に支払い続けられるかを見極めることです。

たとえば月謝が2万円なら年間24万円、そこに用具代や遠征費などで年間10万円が上乗せされるとすれば、年間34万円。これが中学、高校、場合によっては大学まで続くとすれば、5年、10年という単位で総額を試算しておく必要があります。仮に10年続けば340万円です。

さらに、かけると決めた分は、収入アップや支出削減だけに頼らず、あらかじめ蓄えておくことも欠かせません。

新井家の場合、奥様が数字を見て納得してくれたことで、赤字は解消しました。ただ、月1万8000円の黒字は、家電の買い替えなど突発的な出費で消えてしまう水準です。

新井さん自身はできることはやり尽くし、現状は奥様の収入頼みのところもありますが、習い事先への送迎など時間的制約が子どもの成長とともに減っていけば勤務時間も増やせるかもしれません。下の3人のお子さんが望む進路にも費用を注げるようになるには、さらなる工夫と努力が必要です。

検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます

【関連記事】
長女はハーバード、長男は東大、次男はグランドスラム王者…「秀才が育つ家庭」の絶妙すぎる"親子の距離感"
地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
なぜ日本人夫婦の3組に1組が離婚するのか…「価値観の違い」でも「セックスレス」でもない本当の原因
バフェットも「現金は危険だ」と警告した…オルカンでもS&P500でもない、インフレ時こそ強さを発揮する「資産」
安っぽい服ばかり着ていると人生大損する…トップスタイリストが教える「今すぐやめたい残念な服」の特徴