東大に「お金持ちの子」が多い証拠

東京大学の「学生生活実態調査」(2023年度)では、学部生の親の世帯年収が950万円以上の家庭が4割を超えている。難関大学に進むのに高所得家庭が有利なようでは、結局、格差の固定を進める要因になりかねない。

【図表3】東大生がいる家庭の世帯年収
東京大学「学生生活実態調査」(2023年度)P80より

学校だけでは難関校合格に必要な学力が十分身につかず、塾に通わざるを得ないのであれば、教育の平等の観点から本来ならこれは公教育が解決すべき問題だ。

一方、学校教育が十分でも、難関校への進学競争によって塾代が増えているのであれば、問題は学校の指導力だけでなく、入試制度にもある。この二つを混同してはならない。

日本で塾が発展していることは、民間教育の活力を示している。だが、塾がなければ十分な教育を受けられない状況があるなら、手放しでは評価できない。

「お金がかかる」が少子化の原因に

教育費負担と過剰な競争を抑えることは重要だ。過度な教育費負担は、日中両国で少子化の背景となる重要な問題でもある。日本では、夫婦が理想の数の子どもを持たない理由として「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が52.6%で最も多い(国立社会保障・人口問題研究所「子育てに関する当事者の意識・声」、2021年)。

中国政府は民間の学習塾を大幅に規制したが、進学競争は残り、一部の需要は家庭教師などに移ってしまった。民間教育を一律に規制すれば、学習の選択肢が減り、教育サービスの革新や雇用まで失われる。反対に、民間教育を自由に発展させるだけでは、家庭の経済力による教育格差を十分に解消できない。

教育費の負担を軽減するには、学習サービスを規制して供給を減らすだけでなく、教材や指導方法の革新によって、良質な教育を低価格で提供できる仕組みを育てることも重要なのである。

必要なのは、公教育によって基礎学力を保障しながら、民間教育が多様な学習需要に応えられる環境を整えることである。

両国が直面している問題は、実はそれほど違わない。学校は子どもたちに必要な学力をどこまで保障できるのか。そして、家庭の経済力によって教育機会が左右される状況をどう改善するのか。世界でも高い学力を持つ日本と中国だからこそ、その学力を支えている教育制度の実態を問い直す必要がある。

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