ソ連崩壊の震源地に渦巻く不満
ロシア捜査委員会が2026年5月に公表した時点で、北クズバス社の未払い賃金は総額2億5600万ルーブル(約4億8600万円)を超えていた。8月末の労働者たちの訴えでは、未払い額は5億ルーブル(約9億5000万円)を超えたという。
一方、地元メディアの調査では、スタニスラフ・ルピー社長ら同社の経営陣は、2023〜25年の3年間で4億ルーブル(約7億6000万円)を超す賞与を受け取っている。ルピー氏は今年8月、賃金未払いをめぐる刑事事件で訴追された。NGS42によると、10月には州検察が起訴状を承認し、裁判で審理されることになった。
炭鉱労働者たちは記念碑「クズバスの炭鉱員の記憶」の前で動画を撮り、下院選の候補者たちに向けて訴えた。
「我々は我慢強い。だがクズバスは、沈黙と未払いが何を招いたかをよく覚えている。炭鉱員はいつも自らの権利を勝ち取ってきた」
「必要なら、今回も勝ち取るだろう」と添えた労働者たちの言葉は、ロシアの不安定な未来を暗示している。1989年、クズバスの炭鉱労働者によるストライキはソ連各地に広がり、体制を揺るがした。
現在の訴えが同じ規模の抗議に発展するかは分からない。当時のストは深刻な物不足のなかで起きたもので、今回のように賃金の未払いが争点だったわけではない。ただ、経済が行き詰まるなかで労働者の不満が積み重なっているという構図には、かつてのソ連末期を思わせるものがある。
クズバスでは、多くの炭鉱がその不満を抱えたまま、今も赤字を垂れ流しながら操業を続けている。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます


