せっかくお金を払うのだから、損はしたくない。そんな心理が働いて、予算よりも高めのものを選んでしまう。滅多にしない買い物だから慎重に考えるのは間違っていない。が、「高いものの方が失敗が少ない」とも限らない。自分が必要な機能が備わっているなら、安い方でも十分満足できるだろうに。
なぜ「梅」ではなく「竹」を選ぶのか
【余計な出費の落とし穴⑥】
メニューの最安ランクは選びたくない
ランチに入った店でメニューを開き、最安の「梅」、その上に「竹」、最も高い「松」があった時、なぜか真ん中の「竹」を選ぶ人が多いという「松竹梅の法則」。マーケティングの世界ではよく使われる手法で、ご存じの方も多いだろう。
これにも「損したくない」心理が影響している。メニューが「梅」と「竹」の2ランクだと一番安い「梅」を選ぶのに、上に「松」が加わった途端、梅より高い「竹」を注文するようになる。ランチを節約したいのなら、最初の通り「梅」でいいはずだ。
しかし、一番安いものには安いなりの理由があるのではと疑いが生まれる。せっかくお金を払うのに、安いメニューを選んで失敗したら悔しい。最低ではなく真ん中ランクなら、失敗する可能性は減るだろう。「梅」より高くなっても、「竹」を選ぼうという心理が働くわけだ。
売り手側はその心理をうまくくすぐって、あえて一番売りたい価格帯を挟んで、下と上に別メニューを用意したりする。サブスクやデジタル機器の補償プラン等にある「ライト」「スタンダード」「プレミアム」コースもその手法だ。
ライトでは最低限だ、だがプレミアムはちょっと高い。やはりスタンダードにしよう――と真ん中を選ぶ人は多い。スーパーでは1円でも安いモノを選ぶ人が、より高い方を選んでしまうのは実に不思議だ。
保険料が膨らむ「せっかくだから」の罠
損したくないからと最安プランを選びたくない心理は、固定費でも発生する。例えば保険に加入する時だ。医療保険には主契約の他に「通院でもお金が出る特約」「女性特有の病気だと給付が上乗せになる特約」「三大疾病になった以後の保険料が払い込み免除になる特約」など、さまざまなオプションが用意されている。
どの特約を加えるかは契約者次第だ。もちろん、特約をつければつけるほど保険料は上がっていく。しかし、なんのオプションもつけなくていいのだろうか、せっかく入るなら少しでもトクなプランにしたいと思う。
その結果、必要以上に手厚いプランが出来上がることもあるわけだ。物価高で家計費を見直す際には、日々の支出だけでなく、「せっかくだから」「失敗したくない」心理で膨らんでしまった固定費はないかもあわせてチェックする必要がありそうだ。
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