単なるレジ打ちでは認められないビザ変更
仕事の目的や相手の期待を理解できれば、初めて出合う場面でも判断しやすくなります。言われた作業をこなす段階から、自分で考えて店を動かす段階へ。その成長を支えることも、教える側の仕事なのです。
経験を積み、店長を任せたいと思えるスタッフに育っても、そのまま正社員にできるとは限りません。外国人の雇用には、在留資格という条件があります。
「留学」は、学校で学ぶための在留資格です。アルバイトには資格外活動許可が必要で、通常は原則として週28時間以内。複数の職場で働く場合も合計して28時間以内です。学校が学則で定めた夏休みなどの長期休業中は、1日8時間以内という扱いになります。
ラメス君も、大学に在籍しながら、資格外活動として港区の店で働いていました。大学を辞めて本格的に就職するなら、仕事に対応した在留資格への変更が必要でした。
ただ、レジや品出しを行う正社員として採用するというだけでは、希望する在留資格は認められません。そこでオーナーの坂本さんが動きました。
当時、坂本さんは4店舗を一つの法人で経営していました。ラメス君に任せようとしたのは、4店舗の売上管理やデータ分析、スタッフ教育など、法人運営に関わる業務です。
人手不足で見いだされた留学生の可能性
坂本さんは必要な手続きを調べ、入管とやり取りを重ねました。何度も足を運んで説明し、最終的にラメス君は、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更を認められました。
この資格では、実際の業務が専門的な知識などを必要とするものかに加え、本人の学歴や職歴なども審査されます。「店長」「正社員」という肩書を付ければ取得できるものではありません。
私が坂本さんの月次ミーティングを見学した時、集まっていた4店舗の店長は、全員が外国人でした。損益計算書や貸借対照表、予算計画の資料を広げ、オーナーと議論していました。
人手が足りず、留学生を採用する。仕事を教える中で、その人の得意なことや能力が分かってくる。任せる範囲が広がり、やがて店の経営について話し合うようになる。そこには、採用した時には見えていなかった可能性があります。
近所のコンビニに外国人スタッフが増えた背景には、日本人の応募が減った事情があります。しかしその先で、仕事を覚え、信頼を得て、責任ある立場を任される人たちも育っています。
レジの向こうにいるのは、日本語を学びながら働く学生かもしれません。あるいは、売上や人員配置を考え、店全体を動かしている責任者かもしれない。
「外国人店員が増えた」という一言の中で、その成長や役割の変化まで見落としてはいないでしょうか。
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