便利さと引き換えに増えたコンビニの仕事

「日本で暮らす外国人が増えたから」と考える方もいるでしょう。確かに、それも理由の一つです。しかし、私が見てきた現場では、その前に日本人の働き手が集まらなくなっていました。

2000年頃、新店のアルバイトを募集すれば、100人以上の応募が来ることも珍しくありませんでした。近所の高校生や大学生、主婦、フリーター。コンビニは、身近な働き先だったのです。

その後、店が担うサービスは増えました。レジや品出しに加え、公共料金、宅配便、チケット発券、ネット通販商品の受け渡し、ホットスナックの調理。お客様にとっての便利さが、働く人の忙しさや覚えることの多さにつながっていきました。

コンビニのフライドチキン
写真=iStock.com/laela kadarista
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一方で、その仕事を通じて何が身につくのかは、外から見えにくいものです。単純作業の繰り返しに見えて、実際には複雑で忙しい。ほかのアルバイト先と比べ、魅力を感じにくくなった人も少なくないのだと思います。

ところが、留学生の目には、同じ職場が違って映ります。

留学生にとっては日本を学ぶ絶好の場

学校や自宅の近くで探しやすく、授業のない時間帯に働ける。生活費を得ながら日本語を使い、日本の暮らしを学べる。その意味で、コンビニは魅力のある職場です。

2021年の東京五輪では、来日した海外の記者たちが、日本のコンビニの食べ物や便利さに注目し、好意的に発信したことが話題になりました。私たちが見慣れた店も、初めて利用する人には驚きの多い場所なのです。

小さな売場に食事や日用品がそろい、荷物を送り、支払いまでできる。季節ごとに商品が変わり、贈り物の予約も受け付ける。

日本語の言い回しだけでなく、いつ、誰に、どんな言葉を使うのかまで、仕事をしながら学べます。日本人には負担に見えるサービスの多さが、日本社会を知りたい留学生には、学ぶ機会にもなっているのです。

実際に共同通信が2024年5月に報じた集計では、大手3社だけで外国人アルバイトは8万人を超えています。

では、ラメス君にとって、本当に難しいことは何だったのでしょうか。

「じゃあ、接客では何が難しいの?」
ラメスは少し考えてから答えた。
「商品のことです」
「商品?」
「次々に新しい商品が出てきます。でも、僕は商品のことを知らないので、いつも困ります」

コンビニには多くの商品が並び、新商品も次々と入ってきます。日本人でも、すべてを把握するのは簡単ではありません。外国人スタッフには、さらに食文化の違いが重なります。