8日間のスピード辞任もあった

政治とカネをめぐる問題でも、多くの農水大臣が辞任等に追い込まれている。

2007年には、松岡利勝氏が、議員会館事務所で多額の光熱水費を計上していた問題を国会で追及され、自殺。急遽その後任となった赤城徳彦氏も実家の架空事務所費問題が浮上し、2か月で辞任。その後任となった遠藤武彦氏も、自身が組合長を務める農業共済組合の補助金不正受給問題で、就任わずか8日で辞任。立て続けに3人が職を失った。

2015年には、西川公也氏が代表を務める政党支部への違法献金疑惑が発覚し辞任。2021年には、吉川貴盛氏が、大臣在職中に鶏卵生産大手の元代表から計500万円を受け取ったとして収賄罪で起訴、翌年に有罪判決。2023年には宮下一郎氏が自民党派閥パーティー収入不記載事件を受け辞任した。

世襲と非世襲では異なる「問題」の質

以上の問題を起こして交代となった農水大臣10名(経験者を含む)のうち、世襲議員は、赤城徳彦氏、宮下一郎氏、江藤拓氏の3氏で、残りの7名は非世襲のたたき上げの議員である。自民党議員の世襲議員の割合と同じ程度である。

ただし、江藤氏の場合は見識を疑われるものの政治的な意図をもっての発言ではない。宮下氏の場合も、派閥から受け取った12万円を政治資金収支報告書に記載していなかったというもので、軽微と言える事案である。一方で、たたき上げの議員がかなり無理をしている印象を受ける。

世襲議員は、現職議員から地盤、看板、カバンを引き継ぐので、大した努力をしなくても当選できる。これに対して、たたき上げの議員(候補者)の場合には、当選する前もその後も懸命の努力をしなければならない。

地盤であるが、ある選挙区で現職議員と同じ政党から立候補しようとする場合、その候補者が後継者を秘書などの形で用意している場合には、立候補できる可能性は極めて小さくなる。そうでない場合も、現職議員は自らの辞め時を決定できるので、その世襲後継者は準備ができる。たたき上げの候補者はいつの選挙で立候補できるのかわからない。いずれの場合でも、相当の努力か幸運がなければ、世襲候補に対して党の公認を得ることは難しい。