※10月16日以後のネタバレを含む可能性があります。
ほぼ実話だった学校教師との「許されぬ恋」
高等女学校を卒業した葉野珠(石橋静河)は、岩国第三尋常小学校の代用教員に採用された。NHK連続テレビ小説「ブラッサム」の第3週「化粧と、初恋」(10月12日~16日放送)。
すぐに生徒たちから慕われるようになったが、化粧をして登校し、教頭から叱責されたりもした。そんなとき、あたらしく島村辰彦(工藤阿須加)が教師として赴任してきた。珠が化粧のことで教頭に責められていると、かばってくれたりして、珠は島村に急速に惹かれていく。とある休日、珠は調理道具を持参して島村の家を訪れ、食事のあとに話し込み、島村の家で一夜を明かしてしまう。
だが、早朝に島村の家から出てくる珠の姿が近所で目撃され、若い女教師が島村の家に通っている、という噂が立った挙げ句、珠は学校をクビになる。変わらず担任を務める島村に会いたい珠は手紙をしたためるが、拒絶の返事。会いに行くと、「帰れ!」と押し返されてしまう。父の清治(渡部篤郎)から押し付けられ、瞬時に破綻した初婚から3年、これが珠の初恋と思われたが、かなり苦い幕引きとなった。
珠の尋常小学校でのロマンスは、モデルである宇野千代(1897~1996)の実話にかなり近い。
恋仲だった同僚が千代を突き飛ばしたわけ
川下尋常高等小学校の代用教員になった宇野千代は、2年目を迎えたとき新任教員に心を動かされる。刑部芳則氏が『宇野千代』(NHK出版新書)を書くにあたって調査し、その名が玉田精磨だったことが判明したという。
千代の書いた私小説から判断するかぎり、岩国高等女学校時代にも思いを寄せた男性はいたようだが、ほぼ一方通行だったのではないだろうか。短期間でもたがいに惹かれ合ったという意味では、これが初めての恋愛だったのかもしれない。
玉田に惹かれてからの千代は着物に凝り、丹念に化粧をするようになった。しかし、2人の関係が噂になると学校は放っておかず、千代は退職に追い込まれてしまう。
千代は川下村に借りていた家から実家に戻り、失意のまま京城(現ソウル)に旅立った。しかし、そこで玉田からの絶縁状を受けとると、いてもたってもいられなくなり、玉田と直接話をしたくて岩国に帰る。だが、じつは玉田も、千代との恋愛問題のせいで転校させられていた。だから、千代が原因でこれ以上追い詰められるのを極端に恐れていた。
玉田は千代に冷たく対応し、口論になった挙げ句、彼女を突き飛ばしたのだった。

