日本企業が「AIに選ばれる会社」になるために

では、日本企業はこの変化をどう生かせばよいのか。発想を一つ転換したい。AIを選ぶ側から、AIに選ばれる側への転換である。正確には、強力なAIの提供先として選ばれる会社になる、ということだ。

1つ目は、「審査を通る会社」になることだ。最先端のAIほど、使い手を選ぶようになる。そのとき問われるのは、何のために使うのか、誰がどの権限で使うのか、使った記録が残るのか、問題が起きたときに報告し、止められるのか、である。社内のどの部署が、どのAIを、どの業務に使っているのかを一覧にし、権限と記録の仕組みを整えておく。地味な作業に見えるが、これは規制への備えにとどまらない。最先端の火を、他社より先に、より大きく受け取るための会員資格になる。

止まる日は来る、と考えておく

2つ目は、火の入手先を一つに絞り込まないことだ。6月の19日間が示したように、どれほど優れたAIでも、使えなくなる日は来うる。止まったときに切り替えられる別の手段を、平時から用意しておく。欧州の銀行が別の火を探し始めたように、選択肢を持つことは、それ自体が交渉力になる。

3つ目は、受け取った火を、まず守る力に使うことだ。1日約1000件のペースで弱点が見つかるという事実は、弱点を見つけ、それを修正につなげる体制の重要性が、かつてなく増していることを意味する。最先端のAIを正しく受け取れる組織は、自社だけでなく、取引先や顧客を守る力でも先を行ける。それは、取引先から選ばれる理由にもなる。

そして、選ばれる準備をする一方で、選ぶ側の条件も確かめておきたい。利用の資格は、何を理由に取り消されるのか。預けた業務のデータは、どこに保存されるのか。突然使えなくなったとき、仕事を別の手段へ移せるのか。審査に通るために従うだけでなく、提供者の仕組みを見極める力を持つ。それが、強力なAIを主体的に使いこなす企業の条件である。

交差点を渡る人々
写真=iStock.com/EL Studio
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