消費者は「ごまかしがないか」を見ている
しかし、後の二つはどの企業にも参考になる。消費者は単に値上げの金額や比率だけを見ているのではない。なぜ今なのか、これまでどのような努力をしてきたのか、その説明にごまかしがないかを見ている。企業が一方的に事情を説明するのと、消費者の負担を認識したうえで説明するのとでは、同じ事実を伝えても印象は大きく異なる。
ガリガリ君の値上げ時には、関係者が頭を下げるテレビCMが話題になった。サイゼリヤも価格改定に際して「当社の努力不足」と断じ、消費者への配慮を示してきた。社長の会見では「隙あらば安くしたいと思っています」という言葉まで飛び出した。
こうした対応が「誠実さ」として評価されることはある。ただし、値上げのたびに謝罪すればよいという話ではない。大切なのは謝罪という形式ではなく、これまでの企業行動と言葉に一貫性があることだ。普段の姿勢への信頼がなければ、丁寧な言葉も空々しく響いてしまう。
10円値上げをPRに利用したガリガリ君
ガリガリ君の謝罪CMは、国内にとどまらず海外でも注目された。
米紙ニューヨーク・タイムズも、60円から70円(当時)というわずかな値上げに企業が謝罪する日本の光景を、日本経済のデフレの長期化と結びつけて取り上げた。値上げを伝える広告が国際的なニュースになること自体、興味深い現象だ。
筆者が関係者から聞いた話によると、ガリガリ君の「謝罪CM」には、値上げに際して謝罪広告を出すという日本的な慣行が、海外では珍しいため注目されるのではないか、という見通しもあったという。実際にCMは国境を越えて話題となり、広告費だけでは測れないPR効果を生んだ。国内向けの謝罪表現が海外では意外性のあるニュースとして受け止められたことは注目に値する。
