暴れトラが招く米国債のデフォルト危機
米国内政治においても、中間選挙で敗北したトランプ大統領が暴れ回る可能性が囁かれている。ノースカロライナ大学ロースクールのマイケル・ガーハート教授は、「トランプ大統領が混乱惹起と不確実性増大と不安定化を目的に、2028年の大統領選挙への3期目の立候補を示唆したり、国家緊急事態を宣言するかもしれない」と見る。
選挙で負けても、3期目の可能性があるのなら、強い影響力を維持できるからだ。ガーハート教授は、そうした行為が違憲で、トランプ氏お得意のブラフに過ぎないものになるだろうと断った上で、民主党が「トランプをレームダックにする」という明確な目標を掲げている以上、3期目の煽りが「目くらまし(distraction)」として使用されるだろうとする。
これに加えて、トランプ大統領が無理筋な大統領令や瀬戸際政策の乱発を行うことも、想定に入れておく必要がある。
特に注意が必要なのは、米議会において民主党が予算案をブロックしたり、トランプ氏やその一族に対する腐敗追及を強めた場合、予算案の審議がとばっちりを受けてマヒし、連邦政府の閉鎖や、最悪の場合には予算上限到達による米国債のデフォルト危機などが起こる可能性だ。
現在のつなぎ予算の更新タイミングである2026年12月11日や、新たな会期が始まる2027年1月3日、それに続く2027年1~3月は要注意だ。そうした節目は、「猛虎」が権力を誇示すべく暴れやすいチャンスなのである。
連邦政府閉鎖で「急激な円高ドル安」も
政府が閉鎖されれば、日本製品の対米輸出を処理する業務の一部や、日本国内における米国ビザ発給業務などが滞り、日本企業が少なからず影響を受ける可能性がある。株式市場におけるAIブームの調整、急激な円高ドル安や、日本の対米輸出停滞も考えられる。
また、米戦争省の2027年と2028年分の予算はすでに一部確保されているものの、イラン戦争で枯渇しかかっているミサイルなどの兵器の新規発注が遅れることも考え得る。それが回り回って、中東や極東地域における安全保障体制に間接的に悪影響を及ぼす可能性も、なきにしもあらずだ。
さらに、下院を押さえた民主党が不法移民取り締まりを米議会で追及すれば、トランプ大統領は逆に執行を強化して、違法滞在者たちを恐怖のどん底に陥れる可能性もある。米国移民・関税執行局(ICE)の予算は、捜査に74.5億ドル(約1兆1792億円)、執行に310.75億ドル(約5兆円)が2029年分まで確保されており、さらなる厳格化は可能だ。
民主党が中間選挙で圧勝した場合でも、トランプ大統領は民主党がコントロールする米議会による立法制約や追及をかいくぐって、大暴れできる余地はかなり大きいわけだ。
