中間選挙大敗でトランプは「猛獣」と化す
米国時間の11月3日に迫った中間選挙まで1カ月を切る中、米メディアでは「トランプ大統領の支持率が爆落しており、一蓮托生になっている多くの共和党候補が、米議会の上下両院で道連れになって落選する」との見方が優勢になっている。
現在、上下両院は共和党が支配している。だが、下院、あるいは上院まで失えば、トランプ大統領が民主党による法案通過阻止や不正追及に抗おうと、イラン戦争のエスカレート、北朝鮮やロシアに有利な外交ショーの展開をはじめ、無理筋な大統領令や瀬戸際政策の乱発を行うおそれがある。さらには、連邦政府の閉鎖、最悪の場合には予算上限到達による米国債のデフォルト危機などを引き起こして大暴れを始める可能性も否定できない。
その場合、経済面では株式市場におけるAIブームの調整、急激な円安あるいは円高、日本の対米輸出停滞、また安全保障面では米軍予算の執行困難など、日本の国益に深くかかわる事項が米国内の政争に巻き込まれそうだ。わが国がとばっちりを喰うおそれも十分考え得る。
猛獣が暴れ回る可能性に、わが国はどう備えればよいかを考察する。
あらゆる世論調査で「共和党必敗」
黒人男性や若年層男性、ヒスパニック系など、従来は支持層ではなかったグループを民主党からもぎ取り、2024年11月の大統領選挙で激戦7州すべてを押さえて圧勝して鮮やかな返り咲きを果たしたトランプ大統領。
だが、公約のインフレ退治が十分に実行できていなかったタイミングの2026年2月に、イランに対して戦争を仕掛けた。「数日で終わる」と豪語していたが、中東情勢を不安定化させただけで、原油価格の高騰とそれに起因するさらなる物価上昇を招いた。
このため、10月8日に発表されたピュー・リサーチ・センターの世論調査では支持率が30%へと暴落。リベラル系ケーブルニュースのMS NOWに「一体どこまで落ちるのか」と揶揄される始末である。投票先政党に関する各種世論調査でも、ライバルの民主党が共和党を8~12ポイントもリードしている。
CBSニュースと調査企業ユーガブが9月30日から10月2日に全米2166人を対象に実施した世論調査を独自モデルで計算して導き出した予測では、民主党が下院で現在の214議席から最大23議席を積み増して237議席(中間値では229議席)、上院でも現在の47議席から最大6議席を積み増して53議席を獲得し、上下両院のコントロールを奪うシナリオを提示している。なお、米下院の過半数は218議席、米上院では51議席だ。
民主党のシンボルカラーであるブルーにちなみ、「ブルーウェーブが来る」という言説が、米メディアにおける主流になっている。
