同居できるのは配偶者と子、親だけ

アルカダグの人口は、フェルガナ・ニュースによると2025年3月時点で4万500人。2022年12月に示された計画は6万4000人を見込んでいた。第2期の完成前とはいえ、実際の人口はその6割強にとどまる。

計画人口に届いていないにもかかわらず、当局は住民登録や就労など一定の条件を満たさない同居人や間借り人に対して退去を求めている。

2026年2月、係官がマンションのドアを一つずつ叩いて回った。住民登録はあるか。市内で働いているか。部屋の所有者とはどういう関係か。中央アジア専門英字紙のタイムズ・オブ・セントラル・アジアが、トゥルクメン・ニュースの報道としてこの戸別調査を伝えた。同居が認められるのは、所有者の配偶者と子、親だけ。兄弟姉妹や親戚が同じ部屋にいれば、退去の対象になりうる。

では、別途マンションを借りて住めばいいのかというと、その道は事実上ふさがれている。物件所有者には自室を賃貸に出す許可が下りないため、賃貸はもっぱら非公式に行われ、借り手は住所の仮登録を受けられない。

関係者によれば、この街で「正規」の住民と認められるには、市内で就労していることの証明と市内の住民登録の両方が要る。職を得ても登録先となる住まいがなく、新たに正規の住民になる道はほぼ閉ざされている。

残る道は購入だけだ。市内で働いていれば住宅ローンを組めるが、頭金は物件価格の1割にあたる2000~3000ドル(約31万6000〜47万4000円)。さらに、承認の口利きとして仲介役が2000~4000ドル(約31万6000〜63万2000円)の非公式な支払いを求めるという。

この国の最低賃金は大統領令で全業種一律に定められ、2025年1月1日時点で月1410マナト(公式レートで約403ドル、約6万3700円)にあたると、タイムズ・オブ・セントラル・アジアは伝える。最低賃金で換算すると、頭金だけで5〜7カ月分、仲介への支払いを合わせた4000〜7000ドル(約63万2000〜110万6000円)なら10カ月から17カ月分にあたる。

欠陥に声を上げられない住民

住民が立ち退きを迫られるこの街で、目玉のスタジアムをはじめ、住宅や教育施設まで、ほぼすべての工事に欠陥があるとトゥルクメン・ニュースは伝える。

それでも、住民は声を上げられない。「階段でわずかな物音がするだけで、立ち退きを告げに来たのかと身をすくめる。そんな住民の誰が、粗悪な工事に苦情を言えるだろうか」と、トゥルクメン・ニュースは評した。

住民が息をひそめて暮らす一方で、細部にまで注文をつける人物が一人いる。前大統領だ。今もほぼ毎週、現場に足を運んでおり、2026年3月7日には、第2期工事を急ぐよう求めた。

当時、完成予定は2026年9月とされていた。期限に間に合わせることがすべてに優先し、「どのように建てられるかはもはや問題ではないようだ」と同メディアは指摘する。

当初の完成予定だった9月の14日、前大統領はまた現地を訪れた。ニュース・セントラル・アジアによると、サッカーチーム「アルカダグ」が練習に使うスタジアムは定められた基準を満たしていないと指摘し、市の体育・スポーツ部門とスタジアム管理者、市長室の連携が弱いと批判した。適切に維持管理されなければ関係者に厳しい措置が取られうる、とも警告したという。

第2期は2026年9月時点でも工事が続いており、正式な開業は2027年に予定されている。前大統領は9月23日、第2期の開業式を2027年の主要行事の一つにすると述べた。

街の名となった「アルカダグ」は「守護者」を意味する。だが、その庇護が行き届くのは一族とその周辺だけだ。巨費を投じた街のツケは、追い出される住人や、欠陥に声を上げられない入居者、そして暮らしに窮する国民に回されている。

アルカダグの遠景②
アルカダグの遠景②(画像=Bayram A/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

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