「食べ物を楽しんで大丈夫。それも大切です」という言葉も印象に残りました。公開計量で友人たちから投げかけられた問いと、主治医から言われた「維持」という言葉が、私の中で初めてつながった気がしました。
坂本先生は今後の方針について次のようにおっしゃいます。
「体重がどこまで減っただけで見るのではなく、過多体重が引き起こしていた膝や心臓への負担を軽減させていく事が重要で、今後もこれらの状態を確認しながら診察致します。また今後も年齢的な変化など体調の変化に応じながら治療をどこまで続けるか、用量をどうするかについても検討致します」
体重管理から卒業したわけではない
20年以上、私はダイエットを「勝ち負け」で考えてきました。今回の公開計量だけを見れば、確かに「圧勝」かもしれません。
しかし、今の私にとって大切なのは、減った体重をどう維持し、これからの生活をどう楽しむかということです。友人たちの言葉や坂本先生とのやり取りを通じて、体重を減らすことと、健康で自分らしく暮らすことは、必ずしも同じではないと気づきました。
根性だけでも、薬だけでもありませんでした。食欲が大きく落ちれば、「どう必要なものを食べるか」を考えます。食欲が戻れば、「その食欲とどう付き合うか」を考えます。そして74.5kgまで来た今は、「どうやせるか」だけでなく、「どう維持し、どう自分らしく生活するか」を考えるようになりました。
会食も、仕事も、家族との生活も続きます。そして、いつか治療の終了を考える時も来るでしょう。今回、私が一番うれしかったのは、74.5kgという数字だったのか。振り返ってみると、そうではない気がします。
ゴルフ場で、ボールを探して無意識に走った。「あ、走れるんだ」。31年間、自分の生活から消えていた動きが、何の決意もなく戻ってきた。点滅中の横断歩道を早歩きで渡れるようになった。膝の屈伸ができるようになった。そのことのほうが、私にはずっと大きな出来事でした。
友人から「太ってた方が面白かった」と笑われても、105kgに戻りたいとは思いません(笑)。一方で、体重計の数字を追うあまり、食べることや飲むこと、人と会うことまで楽しめなくなりたいわけでもありません。
20年間続けてきた「根性ダイエット」からは降りられましたが、体重管理そのものから卒業したわけではありません。74.5kgになった日がゴールではなく、そこから先をどう生きるか。
私の肥満症治療の答えが出るのは、まだ先なのだと思っています。
【監修】国際医療福祉大学三田病院 糖尿病・代謝・内分泌内科部長 同大学医学部教授 坂本昌也
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