20年以上、減量とリバウンドを繰り返してきた医療・健康コミュニケーターの高橋誠さん(63歳)は、2026年5月、医師のもとで肥満症治療を始めた。食欲が抑えられ、体重は70kg台に減ったが、食べられない日も、食欲が戻る日もある。仕事や家族との生活を続けながら、どう体調と向き合い、体重を維持していくのか。肥満症治療を続けた苦悩を振り返る――。(後編)
体重計に乗っている人の足
写真=iStock.com/Sphoto
※写真はイメージです

何度やせても、また体重が戻った過去

2004年、私の体重は105kgに達しました。それから20年以上、減量とリバウンドを繰り返し、現在63歳になります。糖質を極端に控え、ジムにも通いました。何度もやせました。それでも、また戻る。2026年3月には再び92kgになっていました。

太っていることで困るのは、見た目だけではありません。100kgを超えていたころは、少し歩いただけで息が上がり、ゼーゼーしていました。古傷のある左膝も痛み、階段を下りるときには、一段ごとに両足をそろえなければなりませんでした。膝痛が悪化し、大好きなゴルフが1年ほどできなくなったこともあります。

筆者提供
ミズノスポーツ広報宣伝部、新人広報マン時代の筆者。1985年、22歳当時の体重は67㎏だった

整形外科では両膝の手術が必要と言われました。ただ、1997年(当時34歳)に左膝を手術した際、リハビリで約1年間ゴルフができなかった経験があり、再手術には踏み切れませんでした。PRP治療を受け、約半年後にゴルフには復帰できましたが、体重の問題は残ったままでした。

私は医療・健康コミュニケーターとして、健康情報を発信しています。「健康について発信する人が太っていると説得力がない」と言われたこともありました。耳の痛い言葉です。健康情報に日々接している自分が、20年以上も体重をコントロールできずにいる。その矛盾は、私自身も感じていました。

筆者提供
減量前の筆者(92kg)。3月27日に開かれた都内での会食で

肥満治療で順調にやせると思っていたが…

そんな私に、主治医の坂本昌也先生(国際医療福祉大学三田病院糖尿病・代謝・内分泌内科教授)が提案したのが、肥満症治療薬「ゼップバウンド」による治療でした。「また自力で頑張ります」と答えても、同じことを繰り返すのではないか。そう考え、医師のもとで治療を受けることにしました。

治療を始めた2026年5月20日の体重は90.1kg。それまで抑えるのに苦労していた食欲が静かになり、7月31日には79.6kgと、20年来の「80kgの壁」を越えました。

正直、このときは少し楽観していたのかもしれません。食欲がこれほど抑えられるなら、このまま順調に体重も落ちていくのではないか。ところが、現実はそんなに単純ではありませんでした。