「やせなければ」と思っているのに、食べるのをやめられない。医療・健康コミュニケーターの高橋誠さん(63歳)は、最高105kgを記録し、20年以上、減量とリバウンドを繰り返してきた。太るたびに自分の意志の弱さを責めていたが、肥満症の治療を受け、食欲の変化や食べられない戸惑いを経験するなかで、その見方が変わった。もっと早く気づけばよかったと振り返る、長年のダイエットの盲点とは――。(前編)
メジャーでウエストを測っているおなかの出た男性
写真=iStock.com/herstockart
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朝起きても「食べたい」がやってこない

朝、目が覚めます。以前の私なら、その瞬間から「腹が減った」と感じることが珍しくありませんでした。まだ午前5時台でも、まず頭に浮かぶのは食べることです。

「朝は何を食べようか」

冷蔵庫に何が入っていたかを思い出します。何か口に入れてから仕事を始めよう。そんな毎朝を、私は特別なことだとも思っていませんでした。

ところが最近、朝起きてそのままパソコンに向かい、原稿を書いている自分に気づきました。1時間ほど仕事をしてから、ふと思いました。

「あれ、腹が減っていない」

朝食を我慢しているのではありません。食べたいけれど、ダイエットのために歯を食いしばっているのでもありません。そもそも「食べたい」がやってこないのです。

2026年5月20日、私の体重は90.1kgでした。それから約4カ月後の9月18日、体重計は74.5kgを示しました。私にとっては、20年以上なかなか越えられなかった「80kgの壁」をはるかに突破したことになります。しかし、15kg以上減ったという体重計の数字以上に私を驚かせたのが、この「朝の空腹が消えた」という感覚でした。

私は20年以上、ダイエットとは「食べたい自分との戦い」だと思ってきました。もしかすると、その前提からして違っていたのではないか。そう考えるようになりました。

2004年、41歳で体重は105kgあった

私の記録に残る最高体重は、2004年の105kgです(当時41歳)。

100kgを超えると、太っていることは見た目だけの問題ではなくなりました。長年続けてきたゴルフでは、体重の重みもあったのでしょう、ゴルフシューズがよく壊れました。そして何よりつらかったのが、古傷のある左膝です。痛みが強くなり、とうとう1年ほどゴルフができない時期もありました。

筆者撮影
2021年ごろの筆者。体重は95キロ前後だった

階段は特に下りがつらく、一段下りるたびに両足をそろえ、また一段、という降り方しかできません。少し歩いただけで呼吸が乱れ、ゼーゼーすることもありました。

服にも困りました。既製品のスーツが入らず特注になり、普段着も一般的なXLサイズではきつい。今でも忘れられないのは葬儀です。黒い喪服はお腹がパンパンで、ワイシャツのボタンまではち切れそうでした。人前に出るのが恥ずかしかったことを覚えています。

それでも私は、やせては戻ることを繰り返しました。糖質を極端に控えたことも、ジムに通って運動量を増やしたこともありますが、そのたび一時的に落ちては、また戻ってきます。若い頃なら、少し食事を控えて運動量を増やせば体重は比較的素直に反応しました。それが中年以降、同じことをしているつもりでも簡単には落ちなくなりました。