耳の痛い言葉「太っていると、説得力がない」
「食べすぎたからだ」「酒を飲みすぎた」「自分に甘かった」。要するに、最後は自分の意志の問題だと思っていたのです。体重が増えれば、「また負けた」。数字が落ちれば、「今回は頑張った」。そんな採点を20年以上、自分自身に繰り返してきたように思います。
その間、膝の問題も深刻になりました。整形外科では左右とも手術が必要と言われましたが、私は1997年(当時34歳)に左膝の手術を経験しています。その後、約1年間リハビリでゴルフができなかったことがトラウマになっていて、再び手術を受ける決心がつきませんでした。
そこで選んだのが、保存療法としてのPRP治療です。自費診療で決して安くありませんが、治療を続け、約半年後にはゴルフに復帰することができました。しかし、膝を治療しても、体重そのものの問題は残りました。
そして、もう一つ、仕事上も無視できないことがありました。私は医療・健康コミュニケーターとして、医師を取材し、医療・健康情報を発信する仕事をしています。そんな私に、「医療・健康について発信する人が太っていると、説得力がない」と言われたことがありました。
耳の痛い言葉でした。誰より医療・健康情報に接しているはずなのに、自分自身は20年以上、やせては戻ることを繰り返している。その矛盾は、自分でもずっと感じていました。
「ゼップバウンドをやりましょうか」
転機になったのは、2025年冬でした。
なかなか体重を落とせない私を診ていた主治医の坂本昌也先生(国際医療福祉大学三田病院糖尿病・代謝・内分泌内科教授)から、ついに「ゼップバウンドをやりましょうか」と提案されたのです。20年以上、自分なりにやせようとしては、また戻ることを繰り返してきました。膝の問題もある。仕事上も、このままでいいとは思えない。
「また自力で頑張ります」では、結局同じことになるのではないか。そう思い、私は初めて「ダイエット」ではなく、医師のもとで「肥満症を治療する」という選択をしました。3カ月間、月1回の看護師さんによる栄養指導を受けたうえで、坂本先生がゼップバウンドの適応を決定しました。
初めて注射した夜、日本酒を飲みたいと思わなかった
2026年5月20日、私は医師の診察のもとで肥満症の治療を始めました。使用したのは、肥満症治療薬「ゼップバウンド」です。
もちろん、体重を減らしたい人が誰でも気軽に使う薬ではありません。食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られず、一定の条件を満たす肥満症患者に対して、医師が適応を判断して使用する医療用医薬品です。
私の場合も坂本昌也先生の診察を受けながら、最初は2.5mgから治療を進めることになりました。初めて自分で注射するときは緊張し、右脇腹にペン型の注射器を当てて注入。「本当に入ったのだろうか」と不安になり、注射器の窓を確認したほどです。

