20年以上連続増収を達成 リピーターが利益を生む
「チョコモナカジャンボ」は、1972年の発売から50年以上が経ちますが、現在も森永製菓の看板商品として、年間約2億個を販売しています。
日本の人口で割ると、国民おひとりあたり年間1個以上、召し上がっている計算です。
アイスクリーム市場全体が、2001年度の3432億円から、19年度に5151億円へと1.5倍ほどに拡大するなかでも、業界平均を上回るペースで成長を続けてきました。
01年に「鮮度」を前面に打ち出したマーケティングを始めてから20年以上増収が続き、直近の26年3月期も、弊社の冷菓事業は前期比で8.4%の増収となっています。
今、「鮮度」について触れましたが、この言葉の背景には、一見矛盾した取り組みがあります。アイスクリームには賞味期限の表示義務がなく、一般的には鮮度は重視されません。それにもかかわらず、当社は工場での製造から出荷まで5日以内を目標にしています。なぜ鮮度にこだわるのか。理由は、この商品の値打ちが「パリパリ」という食感にあるからです。
森 信也(もり・しんや)
1962年、愛知県生まれ。岐阜大学農学部卒業後、84年に森永製菓入社。研究とマーケティングを行き来し、健康事業本部長、研究所長などを経て2025年4月より現職。本社バルコニー(写真背景)の天井には、創業者・森永太一郎の出身地である佐賀県伊万里市産のスギ材が使われている。
弊社では1980年代後半に、モナカの内側にチョコをコーティングする技術を取り入れました。その頃からパリパリを意識した開発を始めたのです。2000年代初頭に、売り上げを当時の2倍にする「倍増作戦」を社内で打ち出した際、お客様の価値調査を行ってみると、パリパリこそが最大の価値であることが確認できました。それ以降、パリパリを向上させると売り上げが伸びる、という傾向が生まれました。
なぜ、森永製菓が一つの商品を長年にわたって深化し続けられたのか。その背景には、「活性化」という文化があります。活性化とは、既存商品を改善・改良し、品質を高めていくことを意味する言葉です。当社では新しい商品を開発することと、この活性化に取り組むことを、常にセットで考えてきました。私が入社した当時から、すでに社内で当たり前に使われていた言葉です。
同時に、ある部署が「活性化」のために新しい取り組みを始めると、「だったら自分たちも」とほかの部署も動き出す企業風土があります。この相乗効果によって、ロングセラー商品へと育ててこられたように思います。
弊社には、世代を超えて愛される商品を育てていきたいという思いが、創業から120年以上経った今も根づいています。おかげさまで、ミルクキャラメルやビスケットの「マリー」は100年以上、ソフトキャンディの「ハイチュウ」も50年以上にわたって、お客様に愛されてきました。
本来、研究者もマーケティング担当者も新しいものをつくるほうに関心が向きがちですが、会社により大きな利益をもたらすのは既存商品です。私は、通販事業でコラーゲンドリンクを担当した経験があります。そこで学んだのは、新しいお客様の獲得には巨額の広告費がかかるため、利益を生むのはリピートしていただく段階になってからだということでした。そのため、既存商品を磨くことに、私たちは意識的に資源を配分しています。
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