東日本大震災以降、自然災害のリスクを考慮した資産管理を意識するようになった人も多いのではないだろうか。非常用袋の中身から被災後の各種手続きのコツまで「有事のお金の守り方」を伝授する。

日本人は、家族間で家のお金の話をするのを遠慮しがちだ。しかし親子間で財産状況を把握しておかないと、大災害で親が亡くなった場合などに、保険金を請求し損ねたり、財産の継承が進まなくなる恐れがある。日頃から家の資産状況を率直に話し合い、情報を共有しておくことが大切だ。

そのうえで、家族が加入している保険と銀行口座を記した、非常時持ち出し用の「お金と保険の管理リスト」を作成しておくことをお勧めする。

「リストを作成する際は、『誰に(何に)保険をかけているのか』に着目してまとめることがポイントです」と「生活設計塾クルー」ファイナンシャルプランナーの深田晶恵氏。

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非常時持ち出し用「保険とお金の管理リスト」を作ろう

まず被保険者を最初に記入し、保険商品名、保障(補償)内容、会社名、証券番号、連絡先の順に書き込んでいく(表参照)。

「つい保険会社別に記入しがちですが、被保険者を起点に考えたほうが手続きがスムーズで請求漏れも防げます」(深田氏)

銀行口座のほうは、盗難リスクを考え、必要最小限の口座にとどめておくほうがよい。口座番号は記載しないほうが安心だ。

夫名義の口座は、夫が万が一死亡したときに、妻が現金をすぐには引き出せなくなる。妻名義の口座もつくり、非常用にある程度のお金を預けておくのが得策だ。

ネット銀行を中心に利用している場合は非常用に通常の銀行口座も別途用意しておきたい。

「避難中にネット銀行から現金を引き出したいときは、電話で解約し、店舗を持つ別の銀行口座に振り込んでもらう手続きが必要です。パソコンがない状態でネット銀行から現金を引き出すのは非常に不便だと覚えておいてください」(深田氏)