求められるのはしたたかな姿勢
――日本の中でもこういった潮流は今後高まってくるのでしょうか。日本企業とコーポレート・パトリオティズムの向き合い方を、どのようにご覧になっていますか?
【玉置】多くの日本企業にとって、自らが日本企業だというアイデンティティは、それほど不思議なことではありません。これまでも日本企業は、日本社会に貢献するというメッセージを出してきたと思います。
経済ナショナリズムの時代にどのように企業が生きていくのか。これを考えるうえで難しいのは、国家間には対立する論点があるということです。そうした中で複数の国で事業を展開する日本企業には、状況をどのように分析して向き合っていくのかが問われるのではないかと思います。
例えば、互いに対立するA国とB国があった場合に、ある企業がA国の国益に貢献するということがB国からどう映るのかという問題は、常に意識されると思います。
企業が生き残っていくためには、まず自社の事業が、各国の経済ナショナリズムから見てどのように評価されているのかを客観的に把握すること。その上で、各国の経済ナショナリズムの論理をどこまで、どのように受け入れて自社の戦略に生かしていくのか、したたかな姿勢が求められていると思います。
自由主義の逆襲があるとすれば…
――経済ナショナリズムの潮流は、今後も長く続くと見るべきでしょうか。
【玉置】なかなか難しい問いですが、そのベースにある国家間の対立構造が解消されるかというと、当面は解消されないのではないかと思います。
それは、アメリカという超大国の力が徐々に弱まってきた中で、中国をはじめとする新興国が力を伸ばしているという、国家間のパワーバランスの変化が根本にあるからです。
そうした環境の中で、各国が自らの生存のために経済力を高めようとする。そのためには市場メカニズムに任せてはおけないという考え方は、当面続くトレンドと見るべきでしょう。
ただ、もしそこで自由主義の逆襲があるとすれば、一つ考えられるのは財政の問題です。各国が補助金なり防衛費なりを積んで市場に介入しようとしても、結局は財政に跳ね返ってきて持続可能ではないということもあり得る。ある意味、市場から罰せられてしまうという可能性はあるのではないでしょうか。
こうした国家と市場のせめぎ合いは今後も続いていくでしょう。国と国とのバランス、そして国家と市場のバランスをどう見るのかが、今後の企業に問われてくると思います。
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