この市場をチェックしているのは誰か

たとえば、広告や表示には「景品表示法」がある。通信販売には「特定商取引法」がある。中古品取引には「古物営業法」があり、刑事上の問題が生じれば警察などの捜査機関が関わる。

一方でオンラインオリパという業態そのものについて、当たりが本当に用意されているのか、表示された口数と実際の販売口数が一致しているのか、抽選条件が途中で変更されていないか、当選履歴や設定変更の記録が適切に保存されているか、といった「抽選そのものの公正性」を継続的に確認する専門の仕組みについては、十分に確立されているとは言い難いのが現状だ。

従来の法律は、虚偽表示があれば表示を問題にし、通信販売上の違反があれば販売方法を問題にするという形で機能する。ところがオンラインオリパでは、画面上の表示、ポイント購入、瞬時の抽選、高額カードの当選、ポイントへの再交換といった複数の要素が一つのサービスの中に組み込まれている。「既存の法律が想定してきた領域の境界に、新しい業態が急速に成長してきた」と見ることもできよう。

だから今回、「高額課金した人をどこまで救うのか」という話だけではなく、高い射幸性を持ち、利用者から抽選の中身を見ることができないオンラインサービスについて、どの程度の透明性を求めるべきなのか、について社会全体で考える必要があるのだ。

公正に運営している事業者にとっても、抽選の信頼性を客観的に示せる仕組みがあれば、利用者から疑われるリスクを減らすことにつながる。

ブラックボックスのままでは許されない

今回、消費者庁への申告に加え、民事・刑事の手続も始まったことで、オンラインオリパの運営実態がどこまで明らかになるかが注目される。

同申告は、取引の公正や消費者の利益が害されるおそれがある場合に、消費者庁長官などへ情報を申し出て適切な措置を求めるための制度である。個々の返金問題を解決するためだけの制度ではなく、市場の公正を確保する目的も持っている。

事業者側にも、自社の抽選がどのように行われていたのかを説明できるだけの記録とデータを残しておくことが求められるだろう。その確認を重ねた結果、表示どおり公正に運営されていたのであれば、その事実を示せばよい。問題が見つかれば、その部分について改善や法的対応を進めることになる。

オンラインオリパ市場が今後も成長していくのであれば、今回の問題を特定の利用者と事業者との返金トラブルだけで終わらせるのは惜しい。これは、ブラックボックスの中で行われる高額抽選ビジネスの公正性を、社会としてどのように担保するのかという消費者問題であり、これから広がっていくデジタル抽選型ビジネス全体のルールを考える先行事例なのだ。

「なぜオンラインオリパの抽選だけは、利用者から中身が見えないままでよいのか」。今回のニュースをきっかけに、まずそこから議論を始めるべきだろう。

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