+24万円のはずが手取りは+8万円
企業年金(確定給付企業年金・厚生年金基金など)は、公的年金等控除の対象になるものが多い一方で、企業年金の種類や自治体の計算方法によっては、公的年金等控除が適用されず、受け取った金額がそのまま所得として扱われるケースがあります。
そのケースをご紹介します。
<ケース設定②実際に課税扱いになってしまった人の例>
年金収入:年110万円(制度上は非課税になることが多い)
企業年金の分割受取:年24万円追加
合計年収:134万円
※自治体によっては、企業年金の扱いや控除の計算方法により住民税が課税扱いになるケースがあります(実務上の差)。
【非課税時】
・国民健康保険料:年7万円
・介護保険料:年5万円
・住民税:0円
合計:年12万円
【課税扱いになったケース(実務例)】
・国保:年17万円
・介護保険料:年10万円
・住民税:7000円
合計:年27万7000円
※負担増:+15.7万円
企業年金の分割受取が年24万円なのに、負担増が年15.7万円となり、手取りは実質8万円しか増えていません。
年金の額面だけでなく、住民税非課税ラインを意識することが、老後の手取りを守るうえで非常に重要です。
引かれすぎた年金の税金を取り戻す方法
公的年金のうち老齢年金は、条件に当てはまると振込のたびに所得税が源泉徴収されます。
そして、年の終わりに確認すると引かれすぎになっていることがあり、その場合は確定申告で戻ることがあります。
出典:日本年金機構「『令和7年分公的年金等の源泉徴収票』の送付について」
特に、次のようなものなどを受ける場合は、確定申告をすれば還付を受けられることがあります。
・対象の扶養親族がいるのに扶養親族等申告書を出していなかった場合
・医療費控除・セルフメディケーション税制
・社会保険料控除
・生命保険料控除
配偶者や扶養親族がいるのに申告していないと、年金からの天引きが不利になりやすいです。申告は「扶養親族等申告書」を日本年金機構に提出することで行います。以下のようなケースはよくあります。
・父親が亡くなったことで母親を年の途中から扶養することになった
・働いていた妻が仕事を退職したことで年の途中から扶養することになった
なお、令和8年度税制改正では、所得税の基礎控除や給与所得控除が物価上昇に合わせて引き上げられる仕組みが創設されました。これに伴い、住民税側でも非課税限度額や基礎控除の扱いを見直す方向が示されており、今後は住民税の非課税ラインが変動する可能性があります。
年金生活者にとって住民税非課税かどうかは、医療費・介護費・保険料の負担に直結するため、税制改正の影響を定期的に確認することが重要です。
出典:
・財務省「令和8年度税制改正の大綱」
・総務省「地方税制度の概要(住民税)」
・国税庁「公的年金等の源泉徴収」

