年24万~30万円の収入増で負担も増
結果として、年間10万〜30万円の負担増になることも珍しくありません。特に、企業年金の分割受け取りや個人年金の受け取り、退職後のアルバイト収入などが合算されると、本人が気づかないまま非課税ラインを超えてしまうケースが多くあります。
年金の額面だけでなく、住民税非課税の境界ラインを意識することが、老後の手取りを守るうえで非常に重要です。
たとえば、企業年金の分割受取で年24万〜30万円の収入が増えると、非課税から課税に転落し、国保・介護保険料・住民税が一気に跳ね上がります。結果として「収入が増えたのに手取りが減る」という逆転現象が起こります。
【住民税非課税ラインの目安(単身高齢者)】
・年間所得45万円以下(均等割非課税)
・年金収入ベースで約100万〜120万円以下
【非課税→課税に変わると起こる負担増】
・国保:年+5万〜10万円
・介護保険料:年+1万〜3万円
・高額療養費の限度額アップ
・介護サービス自己負担アップ
・行政サービスの減額消失
非課税から外れて跳ね上がる自己負担上限額
なお、以下のケースは実際に介護サービスを利用している単身高齢者の事例です(単身高齢者・全国平均ベース)。介護サービスを利用している人は、住民税が課税か非課税かで自己負担額が大きく変わります。
非課税の場合は保険料が軽減され、介護サービスの自己負担割合も原則1割です。課税されると保険料の段階が上がるほか、本人の所得水準によっては自己負担割合が2割・3割になることもあります。
また、1カ月あたりの自己負担上限額(高額介護サービス費)も、非課税世帯は2万4600円、一般的な課税世帯は4万4400円と差があり、結果として月々の負担が数千円〜数万円単位で増えるケースがあります。
つまり、住民税が課税されることで介護保険料の負担が増え、さらに所得水準次第では介護サービスの自己負担割合や上限額も上がるため、複数の要因が重なって「社会保険料と介護費の二重の負担増」につながることがあります。その結果、家計への影響が、想定より大きくなることも十分考えられます。
<ケース設定①年金負担のシミュレーション>
年金収入:年130万円(住民税は非課税)
企業年金の分割受取:年30万円追加
合計年収:160万円→住民税が課税される
これにより、国保・介護保険料の軽減が消え、負担が大きく増えます。
【年間の総負担増(典型例)】
・国民健康保険料:+10万円
・介護保険料:+5万円
・住民税:+7000円
・介護サービスの自己負担増:+5万円
合計:年間+20万〜30万円の負担増
年金収入が増えても負担も増えてしまい、結局は手取りがほとんど増えなくなります。

