被害が甚大なのに支援を拒んだ左派の言い分
メローニ首相は帰国後すぐに泥水の中にズボッと足を突っ込んで視察して回り、「すぐに補助金を出します!」と政府からの支援を約束しました。
ところが、現地の左派のセンター長たちは、こともあろうに「ここは左派の街だから、右派のお前たちの党からのお金じゃなくて、左派の議員をつけて(通して)金を出せ!」と猛反対したのです。街中が泥だらけで大変な大惨事の真っ只中で、「右の議員だ、左の議員だ」なんてごたごた言ってる場合ではないのに。
本当に左派は頭が硬くて、臨機応変な対応ができない。国がお金を出して助けてやると言っているのに、まずは「こんだけ被害が出てるのに日本でニコニコ笑っていやがって!」とメローニ批判から入る。日本では感動的な首相像として報じられていた裏で、イタリアではこんなドロドロの政争と、文字通り「泥かき」を巡るすさまじい戦いが繰り広げられていたのです。
【川口】私もそのことはよく覚えています。メローニ首相の権力が今ほど固まっていない時期のことだったので、これがメローニ政権の命取りになるのではないかと本気で心配しました。ドイツメディアは、なぜかそれについては一切何も言いませんでしたが。
「悪者役」としてメローニに尽くす副首相
【ヴィズマーラ】意外かもしれませんが、イタリアのメローニ首相自身は、他国の政党への批判や過激な発言をほとんど口にしません。では誰がその役割を担っているかというと、連立を組む「同盟」の党首、マッテオ・サルヴィーニ副首相です。
EU周辺で「極右だ!」と騒がれるような過激なアピールが必要になると、メローニ首相はまるで「じゃあサルヴィーニさん、出番ですよ」と言わんばかりに彼を前面に送り出す。するとサルヴィーニ副首相が期待通りに登場し、「フランスのルペン(国民連合)頑張れ!」などと堂々と言ってのけるのです。
本来、国のトップ層にある者としては控えるべき発言ですが、彼はあえて「過激派」だったり「悪役」のポジションを自ら買って出ています。
アメリカ大統領選の際には、トランプ氏の顔がプリントされたTシャツを着て登場したり、執務室に「トランプ支持」のTシャツを飾ったりするなど、その支持ぶりを隠そうともしません。メローニ首相はそれを横目で見ながら、「まあまあ、彼は(別の政党である)『同盟』の人ですから……」と、どこ吹く風。
しかし実は、サルヴィーニ副首相が自ら一歩踏み込み、批判を一身に浴びる「悪者役」をすべて引き受けてくれている。この連立政権内における見事な「アメとムチ」の役割分担があるからこそ、国際社会の批判をうまくかわしながら、強固な政権を維持できているのです。
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