植物の4つの癒しのメカニズム
植物による癒しのメカニズムはいくつかの視点から説明されています。ここでは代表的な4つをご紹介します。
①成分的影響(嗅覚)
植物の揮発性成分であるフィトンチッド(α–ピネンや3–カレンなど)により、睡眠が促進されることが動物実験で報告されています(※6)。木々の多い自然の中にいると心が落ち着くと感じるのは、この植物由来のフィトンチッド成分の影響が一因と考えられます。
ただし、室内の観葉植物レベルでは、森林のような高濃度のフィトンチッド環境を再現するのは難しく、その恩恵を受けることは限界があると考えられています。フィトンチッドの効果は森林浴により期待できるでしょう。
②視覚的影響(視覚)
植物を「見る」ことで、体がリラックス状態に向かいます。
韓国の大学が行った研究では、植物を見るという視覚刺激によってα波の増加などリラックスに関わる脳波の変化がみられ、不安や緊張感が軽減に向かうことがわかっています(※7)。この研究では、室内の鉢植えの植物を見ることで脳波の変化が確認されたことから、室内の観葉植物程度の量においてもリラックス効果が期待できると考えられます。
③触覚的影響(触覚)
植物に「触れる」ことも、心身に影響を与える可能性があります。
千葉大学が行った研究では、植物の葉に触れることによって脳の活動に変化が生じ、心理的にリラックスや快適さが感じられる傾向が報告されています(※8)。
日常的な水やりの際に植物に触れることで、自然と心を落ち着ける時間が生まれるかもしれません。
「日本風、南国風」の植物で効果が異なる
④心理的影響(関わり)
植物の世話をすること自体も、心にいい効果が得られる可能性があります。
植物との触れ合いがもたらす影響を調査した研究では、室内で植物の植え替え作業を行うことで、パソコン作業と比較して、拡張期血圧の低下や交感神経活動の抑制といったリラックス反応がみられることが報告されています。また、主観的な快適さの評価が向上することもわかっています(※9)。「観葉植物と暮らす」という日常そのものが、癒しにつながるといえるでしょう。
これらの内容から、観葉植物を目が行きやすい場所へ配置し、葉に触れたり、日々の世話をしたりすることで、ストレスが軽減に向かい、質のいい睡眠も期待できると考えられます。
そして、配置する植物の種類によっても、得られるメリットはやや異なるようです。
異なる植物による心理的影響の違いを調査した研究によると、日本風の緑化デザインではネガティブな感情(不安や緊張など)が抑えられる傾向がみられ、南国風のトロピカルなデザインではポジティブな感情(活力や高揚感など)が高まる傾向がみられることが報告されています(※10)。
落ち着いた気分で過ごしたい部屋には日本風(例:苔、竹、盆栽)、明るい気分で過ごしたい部屋にはトロピカルな植物(例:モンステラ、ヤシ)を選ぶのも1つの方法です。ただし、インテリアのテイストに合うものや、見た目が好みの植物を選ぶことも、重要な選択基準の1つです。
※6 Woo J, Lee CJ. Sleep-enhancing effects of phytoncide via behavioral, electrophysiological,and molecular modeling approaches. Exp Neurobiol. 2020;29(2):120–129.
※7 Jeong J, Park S. Physiological and psychological effects of visual stimulation with green plant types. Int J Environ Res Public Health. 2021 Dec 8;18(24):12932.
※8 Koga K, Iwasaki Y. Psychological and physiological effect in humans of touching plant foliage – using the semantic differential method and cerebral activity as indicators. J Physiol Anthropol. 2013 Apr 15;32(1):7.
※9 Lee M, Lee J, Park B, Miyazaki Y. Interaction with indoor plants may reduce psychological and physiological stress by suppressing autonomic nervous system activity in young adults:a randomized crossover study. J Physiol Anthropol. 2015 Apr 28;34(1):21.
※10 Fukumoto H, Shimoda M, Hoshino S. The effects of different designs of indoor biophilic greening on psychological and physiological responses and cognitive performance of office workers. PLoS One. 2024 Jul 26;19(7):e0307934.

