スマホで見るべきは「キキクル」
では、猛烈な雨が降ったとき、私たちはスマホで何を見ればいいのか。ぜひ知っておいてほしいのが、気象庁の「キキクル」である。
これは、スマホなどのブラウザで「キキクル」と検索するとみることができる情報で、土砂災害、浸水、洪水の危険度がどこで高まっているのかを、地図上に色分けして表示しているものだ。
キキクルはその土地で過去にどのくらいの雨が降ったときに災害が起きたのかというデータに加え、これまでに降った雨や、これから降ると予想される雨、地形や土地の特徴などを踏まえて「危険度」を色別に示してくれる。
赤は警戒レベル3相当で高齢者等避難の目安、紫は警戒レベル4相当で全員避難の目安、黒は警戒レベル5相当で、すでに災害が発生している可能性もある段階だ。
「雨を見る」雨雲レーダーと「災害の危険度を見る」キキクルの違いは大きい。
被害が起きる前から「紫」になっていた
今回の千葉豪雨について、当日のキキクルを改めて確認してみた。当日の17時00分には柏市付近ですでに危険度を示す「紫」が現れていた。
私が確認できた重大な人的被害に関する最初の通報は、それより30分以上あとだった。
もちろん、この一例だけで「キキクルさえ見ていれば、すべての災害から逃れられる」と結論づけることはできない。
キキクルも予測情報を利用している以上、万能ではない。短時間で急激に状況が悪化すれば、危険度表示の変化を待っていては間に合わないこともある。
それでも、少なくとも柏市のケースでは、「雨がいつ止むか」という天気の予測とは別に災害の危険度そのものは早い段階から高まっていたという事実に注目するべきだと思う。
ところが、キキクルそのものがまだ十分に知られていない。気象庁が2025年度に実施した調査では、キキクルを「見聞きしたことがあり、どのような情報か知っている」と答えた人はわずか16.1%だった。
雨雲レーダーで「大丈夫」という理由を探さない
誤解してほしくないのは、雨雲レーダーやハザードマップが役に立たないということではない。どちらも命を守るための重要な情報だ。
ただ、使い方を考えたほうがいい。大雨の最中に雨雲レーダーを何度も更新し、「もうすぐ雨雲が抜ける」という安心材料を探すのではなく、キキクルを開いて、いま自分のいる場所の危険度を確認する。
そして、目の前で、道路に水がたまり始めた。側溝から水があふれている。そんな異変が始まっているなら、「あと10分で雨が弱まる」という画面の表示で安心してはいけない。目の前で起きている現実を優先して命を守る行動をとってほしい。

