割り切れない思いとどう付き合うか

覆水ふくすい盆に返らず」ということわざがあるように、人生には取り返しのつかないことがあります。「自分の選択は間違いだった」と後悔することもあれば、他人に対して「なぜあんな選択をしたんだ」と恨みたくなることもあるでしょう。

なかには「引きずっていても仕方ないから忘れよう」とすぐに割り切れる人もいるかもしれませんが、どうしても思いを断ち切れないこともあるのが人間というものです。後悔や恨みといったドロドロした感情を抱えた者が、どのような人生を送るのか。それを男女の恋愛と金銭をめぐる一大ロマン小説として描いたのが、尾崎おざき紅葉こうようの『金色夜叉こんじきやしゃ』です。

明治時代の小説で最も大衆に愛読された作品の一つとされ、演劇や映画でも繰り返し題材になっているので、原作を読んだことがない人も、主人公の貫一かんいち・おみやはざま貫一・鴫沢しぎさわ宮)の名前とあらすじは知っているかもしれません。

(構成=塚田有香 撮影=川しまゆうこ イラストレーション=米山夏子)

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