「休眠中の宗教法人」が相当数存在する
もちろん、宗教法人の代表者やその家族の口座に不自然な動きがあり、テロ資金の疑いなどが出れば警察が動くことはあります。ただ、税務面での詳細を当局が十分つかめていない宗教法人を、警察だけでどこまで追い切れるのかには限界があります。
しかも、日本には現在、実質的に稼働していない宗教法人が相当数あるとされます。ゼロから宗教法人を立ち上げるには審査も手続きも必要ですが、既存の宗教法人を取得するほうが現実的です。
そうなると外国勢力が自分たちが前面に出るのではなく、資金だけを出して、日本国籍を持つ帰化人や、日本人の協力者を使って取得を図ることも十分考えられます。表向きは宗教法人の承継でも、実態はスパイ活動を含めた別の目的で使われる危険があるのです。
もう1つは「立地」です。宗教法人の多くは都市部ではなく、自然環境に近い場所に存在しています。森林、水源地、観光地。こうした土地はそれ自体に価値があります。しかも、経営が難しくなっている宗教法人であれば、比較的低い価格で取得できる可能性もある。
その結果、宗教法人の取得を足がかりに、周辺の土地や権利にまで影響を広げていくことも考えられます。
信者や檀家、“人と情報”が集まる場所
さらに重要なのは、宗教法人には「人」と「情報」が集まるという点です。
信者や檀家といった、継続的な関係性を持つ人々が存在します。どのような人が、どの地域に住み、どのようなつながりを持っているのか。そうした情報が自然と蓄積されていきます。
加えて、歴史のある寺院には「過去帳」という先祖代々の記録があります。これは文化的な価値を持つ一方で、見方によっては非常に重要な個人情報の集積でもあります。現時点でこれが直接悪用された事例が確認されているわけではありませんが、潜在的なリスクとしては無視できないものです。


