何をつくるかより誰がつくるか

だが、この工場でもっとも興味をそそられるのは、何をつくっているのかではなく、誰がつくっているのかということである。

この建物にはテスラのロゴがあちこちに掲げられているが、実はこのネバダ州で製造されている電池はすべてパナソニック製である。

パナソニックエナジーの野口直人社長
写真左:当時(2010年代)パナソニックエナジーの野口直人社長(画像=Tesla Motors Inc./Copyrighted free use/Wikimedia Commons

敷地面積の約3分の2は、テスラではなく100年の歴史を持つこの日本のエレクトロニクス企業が占めている。実のところ、失礼を承知でいわせてもらえば、パナソニック・ギガファクトリーとすら呼びたくなるかもしれない。

表に出てこないひと握りの企業

ここで重要なのは、アップルが自社製のコンピューターやシリコンチップを製造していないように、電気自動車にも同様のことが当てはまるという点だ。

ほとんどの電気自動車に搭載されている電池は、テスラ、フォード、GM、ドイツのVWのどのエンブレムを掲げていようとも、実際にはまず表に出てこないひと握りの企業によって製造されている。

私たちが興味を持っているのは、リチウムのような単純な物質が生活を豊かにする製品へと姿を変える物質世界であるため、このような無名の企業に注目する価値はある。

結局のところ、最終的に地球が内燃機関から逃れられる日が来るとすれば、それはニュースの見出しを賑わす大手自動車メーカーだけではなく、パナソニック、韓国のLG化学、スウェーデンのノースボルト、中国のBYDのおかげでもあるだろう。