現代の産業革命にもっとも近いもの
この巨大な複合施設では、その丸々3分の2が電池製造に充てられている。どこを見てもいたるところに電池があり、その数は数百万個になる。
指ほどの長さの金属製の円筒は、少し大きいことを除けば、おなじみの単3電池に似ていなくもない。その電池が機械の周りをぐるぐる回るのをしばらく眺めていると、やがてうっすらと催眠術にかかったような気分になってくる。
シューッ! 鋼鉄製のレールに固定された小さなプラスチック製のカートに乗せられ、電池は細いコースやベルトコンベヤーの上をすばやく進んでいく。
ピーン! 電池が上へ下へと動いてから小さなメリーゴーランドのようなものの周りを回っている間、カチャカチャ、チリンチリンという金属音が絶えず鳴り響いている。
奇妙に思えるかもしれないが、鋼鉄製の円筒が音を立てて行き来するこの種の電池組み立てユニットを初めて見たとき、私は数年前にインド洋に浮かぶセーシェルで見たマグロの缶詰工場を思い出した。死んだ魚の耐え難い臭いこそなかったけれども。
しかし、私たちがここで目にしているのは、おそらく現代の産業革命にもっとも近いものである。この小さな鋼鉄の円筒が、電池として道路交通の電化を担うことになる。
チリのリチウムが電池に生まれ変わる
この工場で、チリのアタカマ塩湖の地下から採取されたリチウムが実際に使用できる製品へと生まれ変わる。リチウムはチリを出発してからここに到着するまでの間に、すでに世界中を旅してきた。
別の工場ではほかの物質と混ぜられて、電池で正極に用いられる正極活物質と呼ばれる混合物となり、電極に塗布されてから鋼鉄製の容器に挿入されている。
この電池工場は、材料科学の分野と「規模」の緊急性とが真っ向から対立する場所である。
気候変動を阻止する望みが少しでもあるのなら、私たちが解決すべき問題は、つまりここでの真の課題は、単に電池内部の化学組成を最適なものにすることではなく、十分な量の電池を製造して、電気自動車を手頃な価格で提供できるようにすることである。

