「ヘルパー事業所のAさんに殺されたようなもの」

2026年4月の朝、祖母は亡くなっていた。90歳だった。

祖母が亡くなった際も、母親とヘルパー事業所との間でひと悶着あった。

2025年12月に祖母は誤嚥性肺炎で入退院し、その後も誤嚥しやすい状態が続いていた。亡くなる2週間前にも誤嚥に近い症状があり、足立さんは訪問医師から、「1カ月以内には亡くなる可能性がある。いつ亡くなってもおかしくない」と言われていた。

足立さんは、その言葉を母親に伝えると面倒なことになると思い、隠していた。だが、それが裏目に出た。母親は祖母が亡くなる前の晩に来ていたヘルパーを逆恨みして、「母の最期の言葉は、Aさんに対する『バカヤロウ』でした。苦しかったんだと思います。母は○×ヘルパー事業所のAさんに殺されたようなものなのです!」とケアマネや、親戚に言いふらしたのだ。

叫んでいる女性
写真=iStock.com/sdominick
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「母は親戚中にメールを送っていました。『殺した』なんて事実は絶対にまったくなく、年末年始でも電話したら駆けつけてくれる事業所で、Aさんも本当にいい人だったので、こんな母で心苦しいです」

さらに、祖母の葬儀でも問題が起こった。香典をくれなかった親戚の名前を家の前で叫び、最後に「バチが当たりますように!」と言ったのだ。

「親戚は、家族葬だったので葬儀は遠慮して、後から線香をあげにきてくれるつもりだったそうです。でも母は、気に入らないことがあるとすぐに『バチが当たりますように!』って言うんです。私は趣味でダンスをしているんですが、それで膝を捻ったら、『バチが当たったんだ!』って……」

足立さんは親戚からも、ケアマネやヘルパーからも同情されていた。

「ケアされている自覚」がない母親

2026年7月現在、足立さんの母親は、かれこれ7年ほどほとんど家から出ていない。

「コロナあたりの頃から外出しなくなりました。『コロナが怖い』という理由もありますが、この頃に近所のスーパーのレジが、店員さんが機械を通してくれた後、支払いは機械を使って自分でやる半セルフレジになってから出なくなったのだと思います。

昔からぽっちゃりではあったんですが、『不安』や『寂しい』という気持ちを、食で誤魔化している感じになり、運動不足との相乗効果で、現在90キロくらいになりました」

母親は、以前罹患した乳がんは寛解したが、糖尿病と高血圧を患い、2024年頃から体重増加と足腰の弱りのため、月1での自力での通院ができなくなり、内科と精神科を往診してくれる病院に変更。訪問看護師が週に1回様子を見に来てくれるが、あとは一日中家の中でテレビを見ていて、やることといえば簡単な料理くらいだという。

「私は週3くらいで仕事(カフェ)をしていて、午前9時か10時に家を出て、帰宅は19時半です。20時すぎると母が不機嫌になって連絡がたくさんきます。門限が20時のようなもので、友だちと遅くまで遊んだりできないんです。母が出かける前に買い物メモを渡してくるので、仕事後に一息ついたら買い物をして帰ります」

母親は付き合う友だちさえも口出しした。

「彼氏がいる子や結婚している子とは、『負けているから付き合うな』と言われました。でも、母に内緒で今も遊んでいます。母は私の持ち物を無断であさって見たりするので、見られて困るものは全部出かける時に持って出かけています」

筆者が足立さんを取材の日も、夜逃げでもするかのような大荷物で現れた。

「亡くなった祖母や母の身の回りの世話をしていて一番つらいのは、どれだけ頑張っても『ありがとう』と言われないことです。仕事も、母の精神の安定を図ることと、いつでも駆けつけることができるように、融通がきくアルバイトしかできない状況なのに、母は『自分がケアされる立場』という自覚がないため、私への感謝もありません」

母親は足立さんの生活を縛っている自覚もないため、「○○ちゃん(近所に住む同年代の子)は結婚したのに! アンタは結婚もしない!」とおとしめてきたり、「私がアンタくらいの年齢のときは9時から17時までお勤めしてたのに、アンタはバイトしかしてなくて、週何回かしか働かない。バイトじゃボーナスも出ない!」と馬鹿にする。