今度は祖母と母親が倒れる

そして足立さんがカフェで働き始めていた2022年の2月。今度は祖母(86歳)が自宅のカーペットに足を取られ、転倒する。その後、数日は今まで通り家事をしたり、自分でトイレに行ったりできたものの、3日くらい経った頃に起き上がれなくなる。

一方、祖母が起き上がれなくなった日の数日前から、母親(60歳)が体調を崩し、布団で横になっていることが増える。

レジに立っているカフェ店員
写真=iStock.com/DragonImages
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祖母と母親が2人してぐったりしていることに困り果てた足立さんは、包括支援センターに相談。すると職員が来て状況を把握し、救急車を手配。搬送先の病院で、母親はコロナが重症化していたということが判明。すぐに入院することになる。祖母は骨折ではなく打ち身だったため、痛み止めの薬や湿布などを処方され、帰宅した。

足立さんが地域包括支援センターに連絡すると、以前、祖父の退院後のことを相談していたケアマネがつくことになり、介護ベッドの手配や訪問看護師、訪問入浴などを手配した。

母親がコロナで入院していた約4カ月間、家の中は平穏そのものだった。

母親の「独裁国家」再び

2022年6月。母親がコロナから回復し、退院すると、祖母の介護担当は足立さんから母親に移った。ところが母親は、「元気ではない祖母の姿」がストレスで、声を荒らげたり、時に軽く手を上げたりするようになる。

「母はルーティンを守らないと不安になる人です。なので、決まった時間に祖母にご飯を食べさせたいのに、祖母は眠っていることが多くて、起こしてもウトウトしていて起きてくれないことが増えました。ルーティンを守れないと母は、『ねえ! 起きてよ! 食べる時間でしょ! ねえ!』と何度も祖母を揺さぶって起こそうとして語気を強くしたり、軽くですが腕を叩いたりしました」

それでも祖母は、「なんなのぉ、うるさいねえ」と言うくらいで、母親を叱ったり、咎めたりすることはしない。

「2020年に亡くなった祖父に関しては、当時はコロナ禍で面会できず、最期はどう思っていたかわからないですが、祖母に関しては亡くなるまで『娘が一番』でした。たとえば、私が母に注意をすると、祖母はうわごとのように『○○(母の名)をいじめんな! この野郎!』と言い、それを受けて母も『私をいじめるな!』と言って祖母に泣きつく感じでした。家では祖父母が王様と女王様。母はお姫様。私と父はよその国からきた人扱いでした」

祖父も祖母も、足立さんに対して感謝や謝罪の言葉は一言もなかったという。