質問に質問で返すのもNG
どうしても正確な情報を伝えられないようなら、「納期については、現状、はっきりお伝えすることができません。最短で3週間、長い場合だと2カ月ほどいただくこともあります」のように、可能な限り、相手が判断できる材料を提示しましょう。不確実なときほど、あいまいにせず、幅を示す。その誠実さが信頼につながります。
なお、質問に対して質問で返してしまうのも、できれば控えましょう。たとえば「色は何色ありますか?」という質問に対し「ちなみに、どんな色が好みでしょうか?」と返してしまうケースです。まずは「黒、メタリック、シルバー、赤の4色があります」と答えるのが誠実な対応です。
質問の意味がどうしてもわからず、その意図を確認する場合を除いて、不用意な「質問返し」は控えましょう。問いで返す前に、答えられることは答える。この基本を外さないことです。
「知ったかぶり」は損をする
「こんなことも知らないのかと思われたらカッコ悪い」「こんなことで質問するなんて、恥ずかしい」。そんな気持ちから、つい知ったかぶりをしてしまうことはありませんか? しかし、一番カッコ悪いのは、「わからないことを、わかったふりでやり過ごす姿勢」のほうです。
本当に信頼される人は、自分を偽らず、わからないことを素直に認めることができます。「ここは理解が追いついていません」「もう少し詳しく教えていただけますか」と言える勇気を持っています。その謙虚さと潔さが、相手に誠実さとして伝わり、「この人となら安心してやりとりできる」という印象を与えるのです。
ある企業で働く50代の社員。新たに導入された営業支援ツールの使い方がわからず困っていました。マニュアルを読み、自分なりに試してはみたものの、どうしてもうまくいかない。悩んだ末に思い切って、年下の課長に声をかけました。「この操作がうまくいかなくて。ちょっと教えてもらえますか?」。すると、課長は笑顔で「もちろんです。わかりやすく説明しますね」と快く応じました。数分のやりとりで問題は解決し、2人の間には、それまでにない親近感と信頼が生まれました。年齢や立場の垣根を越えたつながりは、「素直に聞く勇気」から始まったのです。
もちろん、自分で一度も調べずに、最初から他人に頼る姿勢は、信頼を損なう恐れがあります。一方で、自分なりに調べ、試し、考えたうえでの質問であれば、それはむしろ学習意欲や成長意欲の表れとして、肯定的に受け止められます。
信頼とは、「完璧な人」に集まるものではありません。むしろ、自分の未熟さや限界を受け入れながらも、そこから逃げずに前を向く姿勢に集まります。「わからない」を認めることは、決して弱さではありません。自分を飾らない強さであり、素の自分で他者とつながろうとする誠実さの表れなのです。


