変えられる領域だけに集中する
そして、決断の質を高めるためのフレームワークが、スタンフォード大学のロナルド・ハワードとカール・スペッツラーが提唱した「ディシジョン・クオリティ(Decision Quality)」です。これは、質の高い意思決定は、次の「6つの要素」で構成される、というものです。
②創造的な選択肢(Creative Alternatives):実行可能で、魅力的な選択肢が複数検討されているか? 一つの案に固執していないか?
③信頼できる情報(Reliable Information):その判断の根拠となる情報やデータは、信頼できるものか? 偏りや思い込みはないか?
④明確な価値基準(Clear Values):評価の軸が明確になっているか?私たちは、この決断を通じて、何を最大化しようとしているのか?(例:短期的な利益か、長期的な成長か)
⑤論理的な推論(Sound Reasoning):情報と価値基準から、論理的に一貫した結論を導き出せているか? 希望的観測で考えていないか?
⑥実行へのコミットメント(Commitment to Action):決断したことを、組織として実行する覚悟やリソースはあるか?具体的な計画はできているか?
「ディシジョン・クオリティ」は、単に「結果が良かったか」ではなく、「意思決定プロセスの質」に注目する考え方であり、意思決定を構成する6つの要素(問題設定、選択肢、情報、価値基準、推論、コミットメント)を評価軸としています。
自信を持って決断する
この6つの要素は、「鎖」のようなものだと考えてください。
鎖の強度は、最も弱いところで決まります。同様に、ディシジョン・クオリティも、この6つの要素が一つでも欠けていたり、著しく弱かったりすると、全体の質が大きく損なわれてしまうのです。
典型的なプロジェクトの失敗は、まさにこのディシジョン・クオリティの観点で説明できます。
信頼できる情報(③)と論理的な推論(⑤)に基づいて、完璧な計画を立てたとしても、最終的な決断の段階で、「私は聞いていない」など、キーパーソンから強い反対を受けて結局プロジェクトが中止になる、ということがよくあります。
やはり、「実行へのコミットメント(⑥)」という点も、踏まえておく必要があります。
決断とは、机上で正解を導き出すことだけでなく、関係者を巻き込み、行動へとつなげるプロセスそのものです。
多数の選択肢から最適解を選ぶことは、単に一つの案を選ぶ行為ではありません。それは、このディシジョン・クオリティの6つの要素すべてを満たし、決断の質を可能な限り高めるプロセスに他なりません。
会議や議論が行き詰まったとき、「6つの要素のどこに問題があるか?」と自分に問いかけてみてください。
結果はコントロールできなくても、決断の質はコントロールできます。
ぜひこの6つの要素をチェックリストとして使い、自信を持って「質の高い決断」を下してください。


