高級ステーキ店は好調
米国の牛肉生産が本格的に増加基調へ転じるのは、2028年以降になると見られています。
ただ仮に米国の生産量が回復しても、世界の牛肉価格が以前の水準まで戻るとは限りません。
一方で、興味深い現象も起きています。
2026年5月、ニューヨークの老舗ステーキハウス「スミス&ウォレンスキー」が銀座に日本初店舗をオープンしました。
2014年ごろから米国の高級ステーキハウスの日本進出が続いていますが、「スミス&ウォレンスキー」の出店でひと通り出揃った印象があります。
ピーター・ルーガー、ウルフギャング、ベンジャミン、エンパイア、BLT、モートンズ。さらに2014年以前から日本に展開しているルース・クリスや、プライムリブで知られるロウリーズも日本に出店しています。
いずれの店も、高所得者層や社用接待、記念日利用を中心に、根強い人気を保っています。
高価格帯の高級ステーキ店は、多少値上げしてもお客さんが来てくれるため、米国産牛肉の価格高騰にも比較的耐えていると考えられます。
「輸入牛肉は安い」時代は終わった
日本の食卓から牛肉が消えるとまでは言いませんが、これまでのように手頃な価格で輸入できなくなっています。外食を中心に、牛肉メニューがさらに減っていく可能性が高いと考えられます。
米国産牛肉の供給量は数年待てば回復する可能性があります。ただ、価格がもとに戻るわけではありません。
世界的なインフレ、円安の進行、中国の輸入増加など、供給が回復しても価格が高騰するリスクが高まっています。
そうなると「牛丼1杯500円」は維持できなくなる可能性が高いでしょう。
輸入牛肉なら安く、豊富に、いつでも手に入る、という時代は終わったと言っても過言ではありません。
そんな中、外食産業に必要なのは、かつての価格に下がることを期待することではありません。新しい価格体系の中で、どの部位を、どの産地から調達し、どのように使い、どうすれば価値を届けられるかを考えることではないでしょうか。

