国産牛肉はそう簡単に増やせない

「輸入牛肉が高いなら、国産牛肉を増やせばいいのではないか」

そう考える人もいるかもしれません。しかし、現実はそう簡単ではありません。

日本の畜産農家も、円安、飼料価格の高止まり、人手不足、子牛価格の上昇などに直面しており、牛の飼育頭数をそう簡単に増やせない状態です。

そもそも、日本の牛肉生産は繁殖から肥育、出荷までに諸外国よりも長い時間を要します。米国産牛肉の輸入が減少したからといっても、すぐ国産牛肉を増産できるわけではありません。

実際、この5年間で牛肉輸入量が大きく減ったにもかかわらず、日本の牛肉生産量は、2020年は33万3000トン、2025年は約34万トンと、ほぼ横ばい、あるいは微増にとどまっています。

一方で、日本の牛肉輸出量は増えています。

2020年に約4800トンだった輸出量は、2025年には1万1800トンと、約2.5倍になりました。つまり、国内生産が微増でも、輸出が増えたぶん、国内消費に回る量が増えていないのです。

「牛丼1杯500円」は限界に

低価格メニューを支えてきた輸入牛肉の価格が急騰すれば、牛肉メニューのさらなる値上げは避けられません。

すでに多くの店で、価格改定やポーションの見直しが行われています。

一方、米国産牛肉の価格高騰は、焼肉店の経営を直撃しています。

東京商工リサーチが2026年4月に発表した「2025年度焼肉店倒産動向」によると、2025年度の焼肉店の倒産は57件となり、2年連続で過去最多を更新しました。

牛丼チェーンは長年牛丼並盛を500円以下の価格で提供してきましたが、やはり値上げ圧力にさらされています。

牛丼
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※写真はイメージです

かつては米国産ショートプレートを安定的に調達できたので、牛丼を安く提供できていましたが、現在ショートプレートの価格も上昇しています。そのため、従来の部位にバラ周りの周辺部位を組み合わせて使うようになっています。

また、油そばやカレーなど、牛丼チェーンが牛丼以外のメニューを増やしているのも、牛肉の価格高騰への対応という面があります。

ただそうした工夫でいつまで持つかは分かりません。牛丼に使われるショートプレートは火鍋にも使われます。今後、中国が米国産牛肉の輸入を本格的に再開すると、ショートプレートの調達が難しくなり、「牛丼並盛500円」は不可能になると思われます。

また、今後影響を受けそうなのが、「食べ放題」サービスです。

すかいらーくグループのステーキガストは、毎月1回の恒例イベントとして実施してきた「ステーキ食べ放題」を、2026年5月29日の開催をもって終了しました。

牛肉の調達が難しくなっている中、牛肉を大量に使う「食べ放題型」の企画は難しくなっていくと考えられます。