ルール整備をしても違法な客引きが横行

コンカフェに話を戻す。コンカフェの店舗数は、梅本さんが数えたところ、2021年には200を超えていたという。あるコンカフェが違法営業のため摘発されたと思ったら、店名を変えてまた出店している、という事態も相次いだ。

この状況を問題視した地域の企業やNPOが、千代田区や万世警察署と連携して、「秋葉原コンセプトショップ協会」を設立。「店外での客引きは1店舗につき1名まで」「適性な料金設定や明朗な料金表示をする」「反社会勢力とは関わらない」などのルールを設け、入会した店は協会の公認、つまり「安心して楽しめる店」として周知する状況をつくったのだ。

最初は入会を希望する店舗が多く、健全化への確かな一歩となった。しかし、客引きの横行には非加盟店の存在など様々な背景があり、ルールの徹底にはまだ課題も残されているという。

梅本さんは、「客引きの根絶には複合的なアプローチが必要ですが、地域の企業や行政が一体となったこの協会の試みは非常に意義深いものです。今後は協会や公認店の認知度をさらに高め、加盟するメリットを大きくしていくことがカギになります。地道に奮闘を続けるこの取り組みを、地域全体でしっかりと応援し、育てていくことが重要ですね」と、今後の期待と支援の必要性を強調した。

お金を使うだけの推し活は続かない

では今後、秋葉原の景色を一変させたコンカフェは、どうなっていくだろうか? 梅本さんは、「推し活」を引き合いに出してこう話す。

「いろいろな推し活があって、お金を使う人がいれば、二次創作などの同人活動をする人もいます。秋葉原において、後者のような人たちは残ると思うのですが、単に消費をしているだけの人はいずれ違う対象物を見つけるのではないかと。コンカフェでは、あるキャストにお金を使っていた人が、ほかに対象を見つけると、そっちに移って終わってしまう。今、コンカフェは過剰に多いですが、やがてブームは終わり、でも無くなりはせずに、均衡点が出てくるかなと思いますね」

客引きをするキャストの数が表している、コンカフェの隆盛とレッドオーシャン。街の景色はこれから、どう変わっていくのだろうか。

秋葉原の治安はどうだろう。一部報道やSNSでは、「治安悪化」「ぼったくり」「スラム街」「半グレ」など過激な言葉が散見していたことを伝えたが、梅本さんは笑顔で首を振る。

「治安が悪くなったと言われますが、単純に悪化したというよりは、時代によって違法の種類やトラブルの形が変わっているのだと思います。昔から秋葉原は混沌としていて、多様な文化や人々を受け入れる非常に高い『許容性』がある街です。だからこそ、その寛容さに付け込む形で、一定割合で悪意を持ったものやトラブルが流入してしまうという側面が昔からありました。

建物や路上でいえば、過去にはマジコンというゲームソフトを不正コピーできる機器や海賊版の流通、外国人の窃盗グループの問題、あるいはオウム真理教に関わるパソコンショップが存在した時期もありました。昔からそうした一部の違法な側面はありましたが、街全体の治安が急激に悪化したというイメージはありません。許容性がある街だからこそ、それに便乗する悪い動きが入ってきてしまうというのは、昔から見られた傾向かもしれませんね」

2018年8月11日、東京・秋葉原のメイド喫茶で働く「メイドさん」たち約20人が、神田明神で打ち水をした
写真=時事通信フォト
メイドの「萌え」文化は秋葉原の発展と共に歩んできた(写真=2018年8月11日、東京・秋葉原のメイド喫茶で働く「メイドさん」たち約20人が、神田明神で打ち水をした)