「生産も勤務も半分、だけど給与は全額」

思えば身内3人でスタートした会社がここまで成長したのも、情報の漏洩を恐れずに外部から人を雇い入れたからこそ、そして従業員を信頼する道を選んだからこそのことだ。非常に厳しい局面にあるとはいえ、会社側が簡単に従業員を裏切るわけにはいかない。

幸之助はそのように考えたのである。とはいうものの、理想論だけでは行き詰まった状況を打開することはできない。そこで幸之助は大胆な対策を打ち出した。

「首切りはない。生産は半分、勤務も半日。給与は全額払う。しかし、休日返上で在庫を売るんや。ここは凌ぐしかない」