若手が勤務先を「辞めない理由」
「人間関係が良く、定時で帰れて自分のスキルを活かせるから」
「給料が高く、自身の貢献を正当に評価してくれているから。フレックスやリモートなど、柔軟な勤務ができるから。業績が上がると社員に積極的に還元してくれるから。会社の理念が好きだから」
「会社の方針や考え方に共感しているから。仕事を通じて社会貢献していることを実感できるし、今後成長する会社だと考えているため」
「もう少しこの会社で働いてみたいと思えているから」
「同期が相談に乗ってくれたり、人間関係がすごくいいから」
「子どもがまだ小さいので大きくなるまでは在宅勤務や中抜けがしやすい現在の会社で働きたい」
しかし、「考える機会がある」ことと、それを「伝える機会がある」ことはイコールではない。これらの辞めない理由を勤務先の上司や人事に伝えた若手は18.9%にとどまっていた。退職経験者のほとんど(75.6%)が退職理由を伝えていることと対照的である。
辞めない理由を語り合えていない背景には、「話す場がない」「上司や人事から聞かれない」という、そもそも「辞めない理由を聞く」ということが、組織の発想の外にある状況がある。
今の職場で働き続ける理由は多様
会社を辞めない理由の回答結果は次のとおりである。「安定しているから」41.1%をトップに、「仕事で高いパフォーマンスを発揮できるから」8%まで様々な回答がある。経済的な安定を嫌がる者はいないと考えれば、「経済的安定性+何か」という理由の構成であるとも言える。
この「理由」については興味深い傾向があり、回答者が稀少な理由ほど「eNPS」(Employee Net Promoter Score:自分が在職している会社で働くことを身近な他者におすすめできる度合いを10点満点で質問したスコア)が高いという特徴がある。
近似曲線は右下がり――すなわち、選択率が高い「辞めない理由」(例えば「特に辞める理由がないから」「辞めると失うものが多いから」など)でeNPSが低い傾向がある。
ここから読み取れるのは、まわりの人がみな言っているような「共感されやすいこと」だけでは、若手と会社との良い関係にはつながっていないということだろう。自社に対して自分ならではの“推しポイント”が言語化できているかどうか、この点が重要ということだ。
「辞めない理由」にはこの“稀少性“、つまり多くの人が感じている理由ではなく、まわりの多くの人からすれば一見ピンとこないような“珍しい”理由が胸の中にあるか、という大切な点が存在する。



