会社が社員に聞いたほうがよいこと

こうした「辞めない理由」を把握することはもちろん、社員の満足度やエンゲージメントを高めるための重要な手がかりになる。例えば、ある若手が「この会社では自分の意見が尊重される」と感じている場合、その価値観を組織全体に広めることで、ほかの社員の定着意欲も高まるかもしれない。

また、会社側が「辞めない理由」に耳を傾けることで、働く側も自分の存在が認められていると実感できる。これが双方向の信頼関係を生み出し、組織の安定や発展につながる。

現状はしかし、若手社会人の退職経験者の75.6%が「辞めた理由」は聞かれ・伝えているのに、「辞めない理由」は18.9%しか聞かれ・伝えていない。だからこそ、企業は「辞める理由」だけでなく「辞めない理由」にも目を向け、若手社員が組織やチームの何に価値を感じているのかを積極的にコミュニケーションすることが重要となる。

あなたの会社は辞めた人に「辞めた理由」ばかり聞いていないだろうか。かつてあった、「この会社を続ける理由、辞めない理由なんて考える意味がないんだ」という沈黙の合理性から脱することが求められているのだ。

このなかで浮かび上がってくるのは、若手に「不満」や「不平」などのネガティブな意見を聞いてばかりいないか、という点だ。

若手の不満が噴出した「ある問い」

筆者にこんな経験がある。とある企業で、「組織や仕事や上司に対して、日々感じているもっとこうしたら良いと思うこと、ちょっとここは変えてほしいと思うこと」を若手に聞く会が開かれ、同席していた。

会議するビジネスパーソン
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今後の組織改善につなげるために開催された会であったが、案の定、若手からの不平不満が渦巻く場となり、組織に対するネガティブな意見が山ほど出た。手元のメモにはこうある。

「自分の意見やアイデアを発信しても、上司や先輩に聞き流されてしまうことが多い」
「業務の進め方が旧来のやり方に固執していて、新しい提案が受け入れられにくい」
「成果を上げても正当に評価されている実感が持てない。公平ではない。えこひいきされている人がいる」
「社内のコミュニケーションが形式的で、チームの一体感を感じにくい。上司同士の仲も悪いので気を遣う」
「キャリアパスが不透明で、今の仕事が将来につながっているのか不安がある」
「業務量が多く、プライベートの時間を確保しづらい。また、休みがとりやすい人とそうでない人がいるように感じる」